英単語の覚え方を教えてください。

Q. 英単語の覚え方を教えてください。

どうやったら英単語を覚えられるようになるでしょうか。

A. とにかく手札を増やしましょう。

「その人を知りたければ、その友人を見なさい」という言葉があるように、「その人を知りたければ、その人の英単語の覚え方を見なさい」といっても過言ではないほど、英単語の覚え方にはバラエティがあり、その人の個性が現れます。

ちなみに、私の友人は素晴らしい方ばかりですが、その友人をいくら観察したところで、私が真面目系クズの勉強法オタであることは1ミリも気づけないので、前者のことわざは間違っていると思います。閑話休題。

まず、質問者様に申し上げたいのは「英単語を覚えようという気持ちになった時点で素晴らしい」ということです。

英語学習において、英単語を覚えることほど成績を向上させられる手段は他になく、それと同時に、英単語を覚えることほど億劫なことはありません

一年かけて歯医者さんに通い詰め、あらゆる歯を、神経抜く一歩手前まで削り終えたとき、私は「これからは毎日歯間ブラシをするで」と心に誓いました。にもかかわらず、やっぱり歯間ブラシをサボってしまうように、どんなに試験でひどい目にあっても、英単語の勉強はサボってしまいがちです。
 
オジサンの昔話で恐縮ですが、私が英単語を覚える修行を行ったのは、高校2年生~3年生のときでした。英語の成績が、富士急ハイランドも真っ青の急降下をしていたので、なんとか歯止めをかけるべく英語塾に入り、そこで「英単語テスト」を毎週受けるようになりました。

英単語テストの形式は「システム英単語帳」の指定範囲から出題されるというもの。一回のテストで約100単語がテスト範囲でした。それを繰り返し、二年かけてシステム英単語帳を三周くらいしたのだったと思います。

その塾は厳しいところで、英単語テストで赤点をとると「即退塾」という決まりがありました。しかし、私ほどの真面目系クズになると、そのような追い込まれた状況でも、英単語の勉強をサボろうと思えば、サボれてしまいます。

「英単語の勉強を開始するのを、一秒でも先延ばしにしたい」。そんな私は、英単語の勉強時間を削ることに情熱を傾けました。そうすると自然な成り行きで「いかに最短時間で英単語を覚えるかを競うゲーム」を自分で開催し、毎週取り組むことになりました。

そこで、いろんな覚え方を試しました。英単語の覚え方には、目玉焼きに何かける派と同じくらい、さまざまな派閥があります。

(1)単語カード派
ゴルフを始める前にクラブを一式揃える。そんな形から入るタイプが真っ先に取り組むのが、単語カードです。「あいつ初心者なのに道具だけ一丁前だぜ」と嘲笑されがちな彼らですが、こと英単語学習において、単語カードは根強い人気を誇ります。なぜなら、圧倒的に勉強している感を醸し出せるからです。満員電車の中だと、さらにポイントが高いです。勉強している姿を人に見られているというモチベーションは馬鹿にできないもので、高い集中力を持続できます。

(2)イラスト派
教科書の端という端を使って棒人間を走らせてきたタイプにぴったりなのが、英単語帳の空きスペースにイラストを描く方法です。英単語に関係するダサいダジャレのイラストを描くのがコツです。Subordinate(部下の意味。サボーディネイトと発音する)という単語の横には「仕事をサボる部下」を描きましょう。イラストを書く作業だけでなく、ダジャレを考える作業もプラスされるため、脳がフル回転します。

(3)声に出す派
独りごとを極めたタイプにぴったりなのが、英単語を声に出して覚える方法です。「アクセプト受け入れる、アクセプト受け入れる・・・」と塾の自習室でヒソヒソ唱えるか、いっそ外に出て「アクセプトォー!受け入れるぅー!」と大西ライオンばりの声量で脳に言葉を焼き付けます。声量が大きいほど高ポイントです。変な目で見られても、心配ないさー。独自のビートを刻みながら、呪文のように英単語を唱えると、気分が乗ってきて、時が経つのを忘れられます。

(4)文脈で覚える派
ジョン・フォン・ノイマンに憧れる理系学生が陥りがちなのが、文章の中に出てくる文脈で英単語を覚えるという方法です。ノイマンが「英単語の勉強?小説まるごと覚えればいいだけじゃん。楽勝っしょ」と言ったとか、言わないとか。そんな逸話に憧れて「俺も文脈で覚えるんや」とハリーポッター読破に挑戦し、1ページで玉砕したのはいい思い出です。よほどの英語センスがない人以外、おすすめできません。

(5)赤シート派
Wikipediaのミスでリストに載っていませんが、半透明の赤シートを発明した方は「アカジケシタイネン研究への貢献」によりノーベル生理医学賞と平和賞をダブル受賞しています。単語カード派とも似ていますが、赤シートを高速でシュッシュする方が断然カッコいい説があります。赤シートの進化版である巨大赤下敷きを持っている友達がいて「かっこぇぇ」と密かに憧れました。かっこよさでモチベーションが爆上がりします。

(6)少数記憶派
100単語を覚えろ、と言われたときに、5〜10単語ずつに区切って、チマチマ覚えていくのが「少数記憶派」です。10単語の小テストを自らに課して、覚えたら次、という風に進めていきますが、100単語を終えて最初の単語を見たときに「こいつ顔は見たことあるけど名前が思い出せん・・・」という中学の同窓会状態に陥ります。覚える→覚えた→覚えた?→覚えたとて→覚えたとは?、という五段活用を経て、覚えるとは何か、という哲学的な問題に踏み込むことができます。

(7)多数記憶派
100単語を覚えろ、と言われたときに、100単語を一気に覚えようとするパワー系が「多数記憶派」です。少数記憶派とは異なり、小さな達成感を必要とせず、グングン突き進めるだけのエネルギーを持った者に許される、修羅の道です。100単語を1周終えて、はじめの単語に再会すると「おまえ誰だっけ?」となり、一生覚えられない錯覚に陥りますが、10周もするとなぜか覚えられるようになるという人体の不思議を体験できます。

(8)書き取り派
ひらがな・かたかな・漢字を覚える王道が「書き取りノート」であるため、そのノリで英単語も書いてみよう、と一度は試みるのが「書き取り暗記法」です。ノートを英単語で埋めていく行為が、次第に快感へと変わる、ゲシュタルト崩壊に向かう、吐き気を催すなど、人によって感じ方は様々。そもそも「書き取り」とは、悪ガキに反省をうながすための由緒正しき拷問ですので、苦痛に感じる方も多いですが、私は快感に変わる派です。

(9) 見るだけ派
「バカな。なぜ後ろで見ていただけのお前が上達しているのだ」というのは、センス抜群の友達と一緒にテレビゲームをやると生じる現象ですが、これを暗記に応用したのが「見るだけ派」です。その名の通り、眼球運動だけで記憶するのでコスパは最強、と思いきや、当然というか、そう簡単に覚えられるものではありません。「ゲームは自分でプレイするに限る」のと同じで、英単語も自分で手を動かしてやるに限ります。

(10) 人に説明派
「おい、のび太。知ってるか。ノートパソコンってな、英語でLaptopて言うんだぜ!」と、相手の都合も考えず、他人に英単語を解説することで、自らの記憶を強化するジャイアン的存在を「人に説明派」と言います。おまえの時間は俺のもの。俺の時間も俺のもの。迷惑極まりない、かと思いきや、教えてもらった単語がテストに出たりして、役に立ったりもします。

(11) コツコツ派
英単語テストの一週間前から戦いはすでに始まっており、1日20単語ずつ暗記を進め、テスト当日には完全記憶状態を作り上げてくる猛者がいます。それが「コツコツ派」です。「そんなやつおるんか」と思うかもしれませんが、居るものは居ます。出会う確率は、ポケモン金銀のスイクンくらい低いですが、確かに生息しているのです。

(12) 暗記アプリ派
「紙で暗記は古い。これからはデジタルよ」とオジサン世代に鼻息を吹きかけた10代の私。当時、ニンテンドーDSの「英単語ターゲット1900」が発売され、暗記界はITで革新すると思っていました。しかし、いまだに紙の暗記法を使いつづけています。今では暗記アプリも出ているそうですが、もう自分がオジサンなので付いて行けません。誰か教えてください。

(13) 踊る大捜査線派
「英単語は会議室で覚えるんじゃない、電車で覚えるんだ!」と言い残して塾の自習室を飛び出していくタイプが「踊る大捜査線派」です。電車通学の暇つぶしとして、英単語の暗記は人気があります。単語カード派の多くが踊る大捜査線派でもあります。電車に限らず、スキマ時間に暗記する、というのは脳科学的にも記憶に定着しやすいそうです。休み時間に単語カードをめくれば、友達がいない事実をもみ消してくれます。便所飯の暇つぶしにも最適です。

(14) ながら聞き派
英単語を収録したCDをひたすら聞くタイプもいます。何かしながら、ついでに勉強もできるというのは、お得感があります。散歩しながら、

(15) ヒップホップ派
覚えたい英単語だけを使ったリリックに、自作のメロディーをのせて高らかに歌い上げるとグッドです。

(16) 食べる派
田中角栄は英和辞典を食べて覚えたと言います。はじめてこのエピソードを聞いたときはドン引きしましたが、よくよく考えると、紙は植物からなるので、つまるところ野菜です。食べたっていいのです。ハンターハンターの中で、ビノールトが髪を食べてビスケの強さを理解したように、特別な訓練を受けた人間は「紙を食べる」ことで理解力が向上します。きっと角栄は特質系の能力者だったのでしょう。などと冗談を考えながらググッてみたら、あるんですね、食べられる紙。Kamihime(紙姫)という食べられるメモ帳が売られていました。25枚入りで2500円。

いろんな覚え方を紹介しました。「で、どれが最強なのよ?」という気持ちになったと思います。

英単語の暗記は、どこまで行っても単純作業です。「これメチャ覚えやすいわ。最強やで」と思った方法でも、必ずどこかで飽きが来ます。飽きると暗記の効率がガクンと落ちます。したがって、英単語の暗記において大切なのは「いかに飽きずに集中を保てるか」ということになります。

だとすれば、とにかく手札を増やす、というのはどうでしょうか。

集中力を維持する方法については「集中力が続きません」の記事で紹介しましたが、ポイントは「こまめに中断して味変する」ということでした。英単語の暗記において、味変するとは、覚え方をいろいろ変えてみることです。

書いて覚えるのに飽きたら、聞いて覚えてみる。それにも飽きたら、赤シートを使ってみる。それでダメなら、自習室を飛び出して踊る大捜査線をしてみる。こうした「使える手札」をたくさん持っておくことで「飽き」に対応できるようになります

1個1個の暗記法は、クリボーみたいな雑魚かもしれませんが、無限増殖すれば、海馬を倒せます

もしかすると、上に挙げた16個の暗記法をすでに知っていて「そんなん当たり前やん」思うかもしれません。しかし、そのカード(暗記法)はデッキ(記憶の底)に眠っている状態ではないでしょうか。

プレイヤーが手札にあるカードしか使えないように、飽きを感じた瞬間「次は10番の覚え方ァ!行くぜぇ!」とカードを出せる状態でないと、暗記を続けるのが億劫になります。「えーと、どんな覚え方が他にあったっけ」では遅いのです。

ですので「手札を増やしましょう」というのは、暗記法=手札、という単なる比喩ではなく、物理的な話です。遊戯王カードを16枚買って来て、モンスターの説明のところに「10番 人に説明派」などと書いておき、飽きた瞬間に「俺のターン!」と叫びながら、その10番のカードを場に出して実行してみてください。

白い目で見られると思います。しかし、英単語は覚えられるでしょう

まとめ

私のおすすめする英単語の覚え方は以下の通りです。

1.英単語帳を一つ決める
2.それを周回する(小テストで少しずつ)
3.小テストは100単語ずつ行う
4.小テストは罰ゲームあり強制イベントにする
5.暗記法を書き込んだ遊戯王カード(手札)を用意する
6.手札を机に並べておく
7.手札を一枚引き、書いてある暗記法を実行する
8.飽きたら「俺のターン!」と宣言して、手札を一枚引いて実行する
9.これを繰り返す

英単語を暗記する上で最大の敵は「飽き」です。短時間でいかに効率よく覚えられるかを追求した結果、私は「効率って大事か?」「結局は飽きないことが大事じゃね?」という結論に至りました。

人は準備することで行動できるようになります。手札を準備すれば、暗記できるようになります。今回紹介した手札はクリボーですが、あなた次第で封印されしエグゾディアも揃えられます。ぜひ暗記王を目指して、最強の手札を探してみてください。

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