研究報告スライドの作り方(3):メッセージラインの書き方

賢い友人の真似をしてパスワードをネイピア数にしたことがあります。…覚えられなくてやめたとです。

ひろしです…。

スライド作成術の時間がやってきました。今日で第三回です。

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今回のテーマは「メッセージラインの書き方」です。

本講座では「直しが入っても低ダメージなスライド」をコンセプトに「頑張らなければ傷つかない」という、なんとも後ろ向きな姿勢でスライドを作る方法を紹介しています。

前回までに「頑張らないスライドの作成手順」をひと通りお伝えしました。

実際に頑張らずにスライドを作ってみた方もいらっしゃるかもしれません。私は他人のやる気を奪うのが特技のドレイン系ブロガーですので、さぞ頑張らなかったことと思います。

「これだけ頑張らなかったのだから、直されても傷つかないに違いない」という気分になっていらっしゃるのではないでしょうか。心の防御力はカチカチを越えてゴールデンスライムのようにピカピカかもしれません。

しかし、私はまだ心配です。

いくら防御力を高めても、防御力を貫通する攻撃を受けると死にます。ドラクエでいう「痛恨の一撃」ですが、現実にも痛恨の一撃が存在します。「スライド全直し」のことです。

私のようなメンタル弱者になると、心の防御力をメタルスライム並みに固めても、心のHPもメタルスライム並みに少ないので、痛恨の一撃をくらった瞬間にゲームオーバーになります。

スライドを見せるときには「全直しは嫌だ全直しは嫌だ全直しは嫌だ」と額に傷のある少年のように拝み倒します。

私ほどの豆腐メンタラーでなくても「全直し」となると傷つくと思います。そこで、今回はこんなリクエストにお答えしたいと思います。

Q. なるべく頑張らずに「全直し」を回避する方法を教えてください。

全直しはぜひとも回避したいですが、そもそも頑張らないがコンセプトだったので、ここで頑張ってしまうと本末転倒です。頑張りに比例して心の防御力が低下してしまいます。

どうすれば効率よく頑張らずに、全直しを回避できるのでしょうか。私の回答はこちらです。

A. メッセージラインを読みやすくしましょう。

それほど手間をかけずとも「メッセージライン」という急所さえ押えれば、かなりの確率で全直しを回避できます

全直しになる原因の多くは「メッセージラインが読みづらい」ことにあります。常に鼻毛が10本出ていれば、大谷翔平様でもモテないのと同じように、一番目立つメッセージラインが手入れ不足だと、スライド全体が台無しに見えてしまいます。よって「いっそ全部直しちゃお」となるのです。

いや、鼻毛が出ていても大谷翔平様はモテますね。失礼しました。訂正します。ともかく、目立つ所だけ綺麗にしませんか?というお話です。

メッセージラインというのは「私が言いたいのは要するにこういうことですよ」という感じで、メッセージという名のボールをやさしく投げて、要点を聞き手に確実にキャッチしてもらうためのものです。

ブーケトスのように、花嫁と親しく、かつソロ活動をされている友人の元へと、やさしく吸い込まれるように投げるのがコツです。

しかし、やさしく投げるどころか、キャッチ不能の豪速魔球を投げてしまい、ブーケをフライアウェイしていることがあります。

こうしたメッセージラインの魔球化に気づき、「打ちごろの球」に変えてやることで、スライドの印象は大きく向上します。

かくいう私も相当な魔球使いです。こんな球種を持っています。

・分身魔球
・ハイジャンプ魔球
・消える魔球
・超スローボール魔球
・火の玉ストレート
・難解キャンディーズ魔球

分身魔球

ボールを強く握り、変形させて投げると、軌道が不規則に変化し、あたかも無数のボールに分身したように見えます。これを「分身魔球」と言います。

同じように、思いを強く込めすぎたメッセージラインが、無数のメッセージに分身してしまっていることがあります。

たとえば、こんなメッセージラインは分身魔球です。

「牛丼屋で有名なのは吉野家と松屋とすき家で、どれが好きかは人によるが、味噌汁が無料でついてくるし、私は松屋が好きだ」

ちゃんと読みにくいと思います。

このメッセージラインを国語の授業っぽく言えば「複文」になっています。一つのメッセージラインの中に、四つのメッセージが分身として隠れています。こういう分身魔球の場合、単文に分けることで、グッと読みやすくなります

1.牛丼屋で有名なのは吉野家と松屋とすき家だ
2.どれが好きかは人による
4.松屋は味噌汁が無料でついてくる
3.だから私は松屋が好きだ

さらに大事なことがあります。「1スライド1メッセージ」という考え方です。1枚のスライドに含むメッセージを1個に絞ると、聞き手に伝わりやすくなるという法則があります。

さきほどの牛丼の例では、1つのスライドに4つのメッセージが詰まっていました。これを4枚のスライドに分けるだけで、聞き手は受取りやすくなります

分身魔球はボールが分身するから打てないのであって、1個ずつ分けて投げると打ちやすくなるのです。

ハイジャンプ魔球

3メートルほどジャンプし、そこから投球すると、とんでもない落差のボールを投げることができます。これを「ハイジャンプ魔球」と言います。知らない人は、お父さんに「侍ジャイアンツ」って知ってる? と聞いてみてください。

同じように、話の論理が空高くに飛躍し、そこからとんでもない落差で結論が降ってくるメッセージラインを書いてしまうことがあります。

本物のハイジャンプ魔球は、バッターも同時にハイジャンプすると打てます。同じように、聞き手も「論理をハイジャンプしてくるタイプ」なら対抗されますが、まっとうな人間が相手なら、まず尻尾を巻いて逃げていきます。

論理を飛躍させないなんて、何を当たり前のことを言っているんだ、と思うかもしれませんが、自分は大丈夫と思っていても、論理が伊藤みどりさんくらいジャンプしていることがあります

なぜかというと、綺麗な絵があるからです。チーズの乗った牛丼の絵を見ると、お腹が減っていなくても、牛丼屋に吸い込まれてしまいます。このことからも明らかなように、人間は綺麗な絵があると「腹が減っていない」ことすら分からなくなるくらい、論理的にものを考えられなくなります

よって、対策はを見ない」です。

論理がハイジャンプしていないかを調べるために、「第1回の記事」でお伝えしたように、今いちどメモ帳に立ち帰り、メッセージラインの文章だけを繋げて読んでみることをお勧めします

絵を見ず、文章をみる。これだけで、論理の飛躍に気がつきやすくなります。

消える魔球

目の前で急にボールが消える。シンプルさが魅力の「消える魔球」です。

さっきまであったはずのメッセージラインが、跡形もなく消えることがあります。

冷蔵庫においたプリンくらいあっという間に消えます。なぜ消えたのでしょうか。犯人探しをしてみると「ちょっと図が入らなくて」「なくても伝わると思って」「おいしそうだなと思って」という証言が得られました。確信犯です。

このように「メッセージラインが一番大事だ」と分かっていても、なぜかメッセージラインを消した方がいいのでは?という妄想にとりつかれてしまうことがあるので気をつけましょう。メッセージラインはないとダメですし、プリンの恨みは恐ろしいのです。

超スローボール魔球

160キロの速球が来ると思っていたところに、80キロの超緩いボールが来ると、かえって打てなくなります。これを「超スローボール魔球」と言います。

これと同じように「おまえはもう死んでいる」くらい強いメッセージが来ると思っていたところに「実験結果のグラフはこちらです」という緩いメッセージがくると、肩をスカされて「だから何?」となってしまうことがあります。

別名、だから何魔球です。

この魔球は、私が最も得意とする球種です。変な癖がついてストレートがカーブになる野球選手がいますが、私はストレートが超スローボール魔球になる癖があります。

この癖が曲者なのは、自分ではスローボールを投げていることが分からないところです。よって対策は「バッターに立ってもらう」が最適です。

その辺をウロウロしている友達を捕まえて「だから何?」と言ってもらいましょう。別にスライドを見せる必要はありません。「だから何?」と言ってもらうだけで十分です。

「実験結果のグラフはこちらです」
「だから何?」
「ある時間が経過するとグラフが急上昇することが分かります」
「だから何?」
「北斗神拳を受けてから一定時間が立つと被ダメージが急上昇します」
「だから何?」
「あなたは北斗神拳を受けてから14秒が経過したので被ダメージが致死量を超えています」
「だから何?」
「お前はもう、死んでいる」

このように「だから何?」を連呼してもらうだけで、スライドで伝えたいメッセージを具体化できます

もしウロウロしている友達がいない場合は、だから何?と自分で自分に問いかけるだけでも効果があります(私が自分で試したので間違いないです)

メッセージラインに緩急がつき過ぎているかも?と思った方は、だから何?を問いかけてみましょう。

火の玉ストレート

元・阪神タイガース藤川球児投手の決め球が「火の玉ストレート」。ただのストレートですが、リリースポイントが打者に近く、ボールの回転数も多いため、打者から見ると信じられないくらい「伸び」があるボールになり、打てないそうです。

これと同じように、メッセージは普通なのですが、言い回しが冗長になることで、信じられないくらい言葉が「伸び」てしまい、読みづらいメッセージラインになることがあります。

メッセージラインは、伸ばすのではなく、縮めることで読みやすくなります

たとえばこんな風に縮める表現があります。

改善することができる
→改善できる

難解キャンディーズ魔球

そろそろ魔球の語彙が尽きてきました。語彙が豊富な人が羨ましいです。語彙が豊富といえば、南海キャンディーズのヤマちゃんこと山里亮太さんが有名です。

「おぉ、昭和の香り」
「まさかの思春期」
「軽々しくDNAを否定しちゃだめだよ」
「しずちゃん。さすがに手が出るよ」
「人の心にスパイクで入ってこないで」
「ジャニーズ語るテンションで枝の話してる」

ヤマちゃんのように「語彙が豊富だなぁ」と思われたくて、ついついメッセージラインに「産業界の更なる発展に資する」とか書いちゃうことがあります。難しい言葉を使える俺カッケェという気分に浸っているところ申し訳ないのですが、これは「難解キャンディーズ魔球」です。

難解キャンディーズ魔球とは、難解な言い回しによって、訳が分からなくなっているメッセージラインのことです。横で火を怖がるサイの真似をされるくらい訳が分からないです。

ではどうすればいいかというと、平易な言葉に置き換えてみましょう。具体的に言えるとなおよいです。

ヤマちゃんのツッコミを見ると、意外にも難しい言葉を使っていないことが分かります。「語彙力がある!」と思われるポイントは、みんなが知らない難しい言葉を知っているかではなく、みんなが知っているやさしい言葉で具体的に例えられるかなのです。

たとえばこんな風に言い換えると分かりやすくなります。

産業界の発展に資する
→(Lv.1)産業の発展に役立つ
→(Lv.2)車産業が発展する
→(Lv.3)車の燃費が良くなる
→(Lv.4)東京-博多間を車で走っても給油がいらなくなる

革新的なテクノロジーを創出する
→革新的な技術を生む
→青色LED級の技術を生む

新世代の意見を地域発展に反映させます!
→全クラスにクーラーを設置します!

イニシアチブを獲得する
→主導権を握る

平易な言葉を使いましょう。

特に、私のようなおバカにも分かるようにして欲しいなぁ、と常々思っているのがカタカナ語です。たとえばバスケ用語に「クリエイトする」という言葉があるのですが、私はこれが苦手です。

クリエイトするとは、5対5で戦うゲームの中で、2対1や3対2のような数的に優位な状況をつくって、確率の高いシュートを打つという意味の言葉です。この意味を知っていれば「クリエイトしろ!」と言われてピンとくるのですが、私は長年「作れ!作れ!」と言われているようにしか聞こえず「なにがやねん!何を作れっていってんねん!」と思っていました。

私くらいの脳筋になると、カタカナ語に対するIQが2しかないので、なるべくビジネス系のカタカナ語を使って欲しくないです。コンセンサスは「コンセント差す」にしか聞こえません。コアコンピタンスは「名前がコアコンピたんなゆるキャラ」にしか聞こえないのです。

まとめと次回予告

スライド全直しを回避する方法を紹介しました。なるべく頑張らずに回避するには、とりあえず「メッセージラインだけ直せばよい」とお伝えしました。よく陥るダメなメッセージラインを魔球にたとえて、原因と対策を紹介しました。

紹介した魔球の一覧です。

分身魔球ハイジャンプ魔球消える魔球超スローボール火の玉ストレート難解キャンディーズ
説明1つのスライドの中に、複数のメッセージが分身として存在している論理が空高く飛躍しているメッセージライン自体が消えている「だから何?」と思われる緩さのメッセージになっている言葉が伸びて長くなっている難解な言葉を使っていて分かりづらい
原因複文絵があると論理が見えにくいない方がいいという妄想メッセージの緩さ長いワード難解な言葉
カタカナ語
対策複文を短文に分ける。1スライド1メッセージに絞る。メモ帳アプリでメッセージラインをつなげて読むメッセージラインを入れる友達に「だから何?」と連呼してもらう短く言い換える平易な言葉で言い換える

次回は「背景スライド」の書き方を解説します。
次回はこちら

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