目標設定をSMARTにやると行動力が増すけれど、私にはちょっとしんどいです

今回のテーマは「目標設定」です。

前回記事でも紹介した賢者の書『「勉強法のベストセラー100冊」のポイントを一冊にまとめてみた。』によると、おすすめ勉強法の第二位は「目的とゴールを明確にする」だそうです。つまり目標設定ですね。

第一位「復習」は方法論でした。一方で「目標設定」は精神論な臭いがします。少し戸惑いますが、勉強の達人たちが第二位に選んだということは、それだけ大切なのでしょう。

なぜ目標設定が大事なのか?

1997年、憧れのポケモンマスターに絶対なってやる!という理由で家出をした少年に関するアニメが全国的なブームになりました。

初期ポケモンが電気ねずみという、オーキドからの嫌がらせ(最初のジムがじめんタイプなので詰む)を受けながらも、電気ねずみの鍛えた技を武器に、仲間を増やしながら、サトシ少年は街を渡り歩きました。

うまくいく保証などない中「本気で生きているから大丈夫。こいつたちがいる」というポジティブシンキングで乗り切ってしまう健気なサトシ少年の姿に、全米が泣きました。

なぜサトシ少年が逆境を跳ね除けて前に進めたのかというと、彼には「憧れのポケモンマスターになりたいな。ならなくちゃ。絶対なってやる」という強い目標意識があったからだと思います。

このことから分かるように、目標を叶えたいという思いはモチベーションの源泉になるため、目標設定が大切だと言われています。

SMARTの法則による目標設定

目標を設定することのメリットには、モチベーションが持続することの他に、具体的な行動をとりやすくなることが挙げられます。

「ポケモンマスターに絶対なってやる!」という漠然とした目標を立てるだけでも、具体的に「家出」という行動をとれるようになります。が、勉強の達人たちは「漠然とした目標は行動を喚起する力が弱い」と指摘しており、より明確な目標を立てることを推奨しています

たとえば「三年後までに、伝説系を除く初代ポケモン146匹を図鑑に登録する」という明確な目標を立てると、次に何をすべきかを把握できます。結果「トキワの森でキャタピーとビードルを捕まえておこう」といった行動をとりやすくなります。さらに「ライバルが所有している御三家を進化前に盗まないといけない」ことにも気付けるようになります。

このような明確な目標を立てたいときに役にたつのが「SMARTの法則」です。

SMARTの法則とは、明確な目標を作るための五要素を分かりやすく示したものです。1981年にManagement Review誌に掲載されたジョージ・T・ドラン氏の論文がルーツとされています。ドラン氏によると、明確な目標は以下の要素を含むそうです。

1. Specific(具体的である)
2. Measurable(達成度を測定可能である)
3. Assignable(誰が実施するか決まっている)
4. Realistic(現実的である)
5. Time-bounded(期限が決まっている)

では、さきほどのポケモンを例に、サトシ少年がSMARTの法則に沿った目標を立てられていたかを確認してみましょう。

目標:ポケモンマスターに絶対なってやる
S. 具体的か?→No(ポケモンマスターとは何?)
M. 測定可能か?→No(何を成せばマスター?)
A. 誰が実施するか?→サトシ少年
R. 現実的か?→不明(望みは薄いと思われる)
T. 期限はあるか?→不明(死ぬまでに達成?)

サトシ少年の目標設定は、五要素のうちの一つしか満たしていないことが分かりました。こうしてみると、こんな粗い目標設定でポケモンリーグまで辿りついたサトシ少年が、いかに化物だったかがよく分かります。ポケモンだけでなく彼自身もモンスターだったのですね。

続いて、勉強の達人が設定しそうな明確な目標「三年後までに、伝説…」について、SMARTの法則を満たしてるかも見てみましょう。

目標:三年後までに、伝説系を除く初代ポケモン146匹を図鑑に登録する
S. 具体的か?→Yes(図鑑に登録)
M. 測定可能か?→Yes(登録数を数えればよい)
A. 誰が実施するか?→サトシ少年
R. 現実的か?→おそらくYes
T. 期限はあるか?→Yes(三年後)

五要素すべてを満たしています。この目標を立てる主人公は、夢がないという点でアニメとしてどうかと思いますが、主人についていくポケモン側からすれば、頼もしいのではないでしょうか。

すごくない目標設定

以上、賢人たちが確立した、すごい目標設定の方法を紹介しました。ここからは、みんなお待ちかね、私の私による私のための、すごくない目標設定法の時間です。鼻で笑う準備はよろしいでしょうか。

ここでは私が実践している「夢を叶えない」目標設定のやり方を紹介します。

「失敗しない人は、挑戦をしない人である」とアインシュタインは言いました。

この言葉は「びびってないで挑戦しようぜ!」という前向きな姿勢を説いたものだと解釈するのが一般的ですが、裏を返すと「挑戦さえしなければ失敗して傷つくこともない」とも言えます。アインシュタインは身近な人に手を出して不倫を繰り返す悪癖があったそうですので、何にでも挑戦する思考は、悪い面もあるのです。

英語の成績を伸ばしたい。数学の苦手を無くしたい。社会も完璧にしたい。国語も満点をとってみたい。痩せたい。ムキムキになりたい。子育ても頑張りたい。かめはめ波を出したい。挑戦したいことをあげれば切りがありません。が、時間と体力は限られています。本当に大切なものだけに集中する必要があります。

しかし、私のように取捨選択が苦手な人間は、どうでもいいことまで挑戦したくなり、目標を乱立させ、手が回らなくなり、大失敗をしてしまいがちです。目標設定は行動を喚起する魔力が強いので、目標をたくさん立ててしまうと「行動しなくては」というプレッシャーに追い回されることになります。しかも目標設定が明確なほど、達成できなかった時に強いダメージを受けます。これでは心の健康を損ないます。

賢人たちほどの取捨選択能力もなく、かつメンタルが強くない私は、目標は立てた方がいいと分かっているけれど、目標を立てると苦しくなる、そんなジレンマを抱えています。

そこで、夢を叶えない微妙な目標を立てて心のバランスをとろうと考えました。

たとえば「将来ビッグになってやる」という漠然とした目標を立てれば、目の前の現実に向き合わなくて済みます。「いつまでに何を達成する」という締切に追われることもないので、傷つくことがありません。代償として夢が叶わなくなりますが、そんな些細なことには目を瞑れてしまうだけのメリットがたくさんあるのです。

目標設定の悪魔から心を守るための、おすすめの方法をお伝えします。以下のポイントをおさえて目標設定すれば、安心して夢を叶えられなくなり、努力する気も起こさずにすみます。一緒に傷つかないための予防線を張りましょう。

■夢を叶えない目標設定のポイント
・目標を書き出ささない
・目標を壁に貼らない
・目標を数値化しない
・目標に期限を設けない
・異常に高い目標を掲げる
・目標を人に話さない
・ロールモデルを作らない

例を挙げます。私には「いつかダンクシュートをする!」という目標があります。約20年抱えているベテランの目標なのですが、これを真剣に実現しようとすると、激しい筋トレと節制が必要になり、ブログを書いたりする時間的・精神的な余裕がなくなります。かなり危険な夢ですので、夢を夢のまま終わらせるべく、ポイントをおさえた目標設定をしています。

まず目標を紙に書き出しません。ダンクシュートがしたい思いは頭の中にだけ留めておきます。紙に書き出してしまうと、思いが増幅され、トレーニングしたくなってしまいます。このブログに「ダンクシュートがしたい!」と書くだけでも心がザワザサしますので、紙に目標を書き出すのは絶対やってはいけないと感じます。

次に目標を壁に貼りません。目につくトイレの壁などに目標を貼ってしまうと、ことあるごとに努力したくなってしまい、その度に我慢するのが心苦しくなります。紙に書くのですら、やる気が湧いてしまうのですから、壁に貼り出すなどもってのほかです。絶対に貼ってはいけません。

目標を数値化することもしません。「本日牛肉5割引き!」「人は話し方が9割」というフレーズに簡単に心踊らされてしまうことからも明らかなように、数字は人に行動を起こさせる力を持っています。非常に危険です。ダンクシュートをしたいという目標は、数値を伴わないので低刺激ですが、もし「ダンクシュートに必要な垂直跳びの高さ100cmを達成する」と変換してしまうと、途端に刺激が強くなります。さらに「垂直跳び100cmに必要と思われるスクワット180kgかつパワークリーン120kgを目指す」のようにメニュー化してしまうと、一気に現実感が出て練習したくなるので、絶対にやりません。

目標に期限を設けることもしません。この世には「締切効果」という謎にやる気がブーストされる現象が存在します。つまり、期限や締切を作るという簡単な作業だけで、焦る気持ちを生むことができ、生産性を向上できてしまいます。この魔法は人を頑張らせてしまう効果が高いのでデンジャラスです。ゴールを小さな中間目標に区切って、締切をたくさん作ると、締切効果は10倍にも100倍にもなります。締切効果は依存性が強いことも知られており、一度締切を味わってしまうと、また次の締切が欲しくなる悪循環に陥ります。よって、絶対に期限を決めません。

目標は異常に高くすることを心がけています。人は、頑張れば手が届くところに目標があると、無意識に頑張ってしまう生き物です。頑張らないためには、十分に心を折っておく必要があります。山王工業はインターハイ初戦で湘北高校に敗退をしましたが、あれは伝家の宝刀ゾーンプレスを20点差がついた時点でやめた堂本監督の采配ミスが原因でした。下手に勝ちの目を残すと、心の三井寿が何度でも甦ることを知っている私は、目標を実現不可能なくらい高めに設定します。

目標を人に話すこともしません。過去に「実はダンクできるようになりたいんだよね…」と近しい人に明かしたことがあるのですが、あれは失敗でした。その人が実際どう思っているかは知りませんが、私の脳内で「ダンクを期待されている」と勘違いが生じ、責任感が芽生え、努力しようとしてしまいました。目標を共有する人数が増えるほど、やらなければという思いが強化されてしまうため、目標は人に話しません。

ロールモデルも作りません。マイケルジョーダンのようにダンクしたいと実在する理想人物(ロールモデル)を思い浮かべると、宙に浮いているようなダンクをする自分のイメージが鮮明になり、驚くほど努力できてしまいます。人物への憧れは強力なので用心しています。ダンクするYouTuberを見るだけで足がムズムズして体育館に向かいたくなります。なるべく見ないようにしています。

以上のポイントに気をつけることで、夢に向かって努力したくなる衝動を抑えることができ、心を平穏に保てるようになります。

まとめ

すごくない目標設定法を紹介しました。目標を設定するときは、紙に書き出さないなどのポイントを押さえることで、夢に向かって努力したくなる気持ちを限りなくゼロにできます。みなさまは私と違って取捨選択が上手だと思いますので、私の目標設定法を反面教師として、ぜひ行動力が増すような目標を立ててみてください。

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