読書感想4.「フランクリン自伝」ベンジャミン・フランクリン

読書感想の第4回。

本の概要

・タイトル:フランクリン自伝
・著者:ベンジャミン・フランクリン
・訳者:鶴見俊輔
・出版社:土曜社
・出版年:2015年
・頁数:272ページ

要約:
一万円札のオジサンは福沢諭吉。じゃあアメリカの100ドル札のオジサンの名前は?ベンジャミン・フランクリンである。本書は、アメリカ建国の父として知られるフランクリンの生涯を描いた伝記本だ。彼を一言で表すと「自制心が服を着て歩いている男」。道徳的に完全な人間になろうとした彼からは、どこか人類補完計画の匂いがして厨二心をくすぐられる。本当にすごい人。
この本を読んだ理由

私はゾウリムシくらい単細胞なので、自己啓発本を読むとすぐに感化される。新入社員研修でデール・カーネギー著「人を動かす」を読み、案の定感銘を受けた。そのカーネギーが「みんなフランクリンの伝記を読んだらいいのになぁ…」とボヤいていたと知り、それなら一丁読んでおくかと思い、本書を手に取った。「フランクリン=道徳的に完全な人間」という前評判だけ知っていたので、人類の究極完全態とはどんなものか興味もあった。

以下、私の胸肉に刺さりまくった文章を引用し、感想を漏らしていく。

人類史上稀にみる「いいやつ」

わたしが道徳的に完全な人間になろうとして、大胆な、しかも困難な計画を思いたったのは、このころだった。わたしはどんなときにも過ちを犯さずに暮らしたいと考え、生まれながらの性質や習慣、それに友達に引きずり込まれそうな過ちなど、そういったものをすべて克服しようとした。(中略)逆にそれに反する習慣を打ち破り、よい習慣をしっかり身につけておかねばだめだという結論に達した。

フランクリンの13徳:
1.節制:飽きるまで食べるなかれ、酔うまで飲むなかれ
2.沈黙:自他に益ないことを語るなかれ。むだ口をたたくなかれ
3.規律:物はすべて場所を決めておくべし。仕事はすべて時を決めてするべし
4.決断:やるべきことをやろうと決心すべし。決心したことは必ず実行すべし
5.倹約:自他に益なきことに金を使うなかれ。すなわち浪費するなかれ
6.勤勉:時間を無駄にするなかれ。常に何か益あることに使うべし。無用な行為はすべて断つべし。
7.誠実:偽りで人を傷つけるなかれ。無邪気に公正に考えるべし。しゃべる場合もそうであるべし
8.正義:他人を侮辱したり、あるいは与えるべきものを与えずして傷つけるなかれ
9.節度:極端を避けるべし。怒るに値すると思われる害を受けても耐えるべし
10.清潔:身体、衣服、住居に不潔を許すべからず
11.平静:ささいなこと、日常の出来事に心を乱すなかれ
12.純潔:成功は健康または子孫のためにのみ行い、必ずこれがためになまくらになることなかれ。身体を弱めることなかれ。また、自他の平和や信用を傷つけることなかれ
13.謙譲:イエスとソクラテスを見習うべし

ベンジャミン・フランクリン著「フランクリン自伝」土曜社(2015年).

大学2年生の秋。サークルの仲良しグループで、日光までドライブする計画を立てた。車の定員に対し、参加人数が足りていなかったため、いつメン(いつものメンバー)以外にも声をかけることになった。誰かが「Sくんはどう?」と提案した。Sくんはサークルへの参加頻度がやや少なめで、静かなタイプだったため、仲良しグループの会に参加したことがなかった。「Sくんいいね!」「Sくんって実はイケメンだよね」などと勝手に盛り上がり、Sくんを呼ぶことになった。

日光旅行は楽しかった。Sくんも楽しんでいるように見えた。だが、私の中では「いつメンしか分からない話題で盛り上がってしまったな」という反省があり、Sくんが内心では疎外感を覚えたのではないかと不安になった。そこで、解散した後、Sくんにこっそり「今日楽しかった?大丈夫だった?」と聞いてみた。するとSくんは言った。

「僕、こんな風に誘ってもらったことなかったから、すごく嬉しかった」

あまりにストレートでピュアな感謝をぶつけられ、心が震えた。「なんていいやつなんだ…」とジャイアンのごとく猛烈に感動した。アルプスの天然水くらい透き通った瞳で見つめられ、同性ながら惚れてしまうかと思った。この感情を「萌え」というのかもしれない。Sキュン萌えである。それ以来、私の中でSくんは「抜群に善い人間」カテゴリーに分類され、Sくんの人間性を陰ながら尊敬するようになった。

Sくんに限らず、人間力が格段に高い人に出会い、「私も善い人間になりたいなぁ」と感化される瞬間が、この33年間の人生の中で幾度となくあった。その中でも、フランクリンの考え方に触れたときは、感化レベル999と言っていいくらい、格の違いを感じた。フランクリン様は、人類史上まれにみる「いいやつ」である。

フランクリンほどの大人物であっても、自制心が揺らぐことが頻繁にあるらしく、それでも何とか善い人間になろうと、13徳目を設定して、自らの行いを日々チェックしていたそうである。こうした偉人のキレイな心に触れると、まるでサウナ後のように、体の中の毒素が排出された気分になる。

出世のカギは清廉潔白

貧しい人間が出世をするには、清廉潔白であることが一番大切なものだ。

ベンジャミン・フランクリン著「フランクリン自伝」土曜社(2015年).

偉くなるって、人間的にいいやつになるってことなんだな。

フランクリンの読書量

わたしは、子供のころから本を読むのが好きで、少しでも金がはいるとそれを本代に使った(例.デフォーの企業論、メイサーの善を為すの論)。(中略)この当時のわたしのおもな知り合いは、みんな本を読むのが好きな連中だった。

会員制図書館を作った。50名の会員が集まった。これは今日全北アメリカに数多くある会員制図書館の元祖である。これらの図書館はアメリカ人全体の普段喋っている話し方を改めさせ…。

この図書館ができたおかげで、わたしは絶えず勉強して向上する道を得られ、毎日に二・三時間を勉強時間にあてた。読書はわたしに許されたただ一つの楽しみだった。

ベンジャミン・フランクリン著「フランクリン自伝」土曜社(2015年).

偉人の読書家エピソードを集めるのが好きだ。なぜ好きなのかというと、フランクリンほどの人物でも、偉人になるためにちゃんと努力していたのだと分かると、安心するのだ。これはいわゆる「俺は才能あるけど努力していないだけ」理論である。

現在の自分は、まったくもって偉大ではないが、だからといって偉大でないことに満足しているわけではない。人生が偉大でないなら偉大でないなりに、満足できる「偉大でない理由」を獲得して安心しておきたい。もしその理由が「お前は才能がないから偉大じゃないんだよ!」だとメンタルがブレークするが、「お前は才能はあるんだけど、努力が足りないんだよ」であればそこまで悪い気はしない。

つまり、偉人の努力量を知り、自分の努力量と照らし合わせて「えっ…。私の努力量少なすぎ…」と自覚すると、自己肯定感が高まるという、謎の仕組みができあがる。偉人の読書家エピソードを集めるのは、自己肯定感を高めるための確認行為なのだ。…と自己分析してしまうと悲しくなるが、言いたいのは、フランクリンの読書家エピソードが聞けて嬉しかったという話である。

フランクリンは実力・実績ともに申し分なく、読書量も常人をはるかに凌いでるという点で高ポイントである。みなさまもフランクリン自伝を読めば、自己肯定感が上がること請け合いである。

コメント

タイトルとURLをコピーしました