例えで使える、スラムダンクの名セリフ10選

注)この記事は漫画「スラムダンク」のネタバレを含みます。

第一印象は「つまんない」だった

「つまんない」

それがスラムダンクの第一印象だった。セリフのないコマの連続。知らないボウズ頭。なぜかハイタッチをする二人。それを見て涙する女性。意味が分からない。

私はため息をつき、単行本を母の本棚に戻した。

子ども部屋の片隅。そこに母の本棚はあった。スラムダンクを初めて手にとったのは小学校二、三年生のときだったか。スティーブンキングの小説の横にならんだスラムダンクは、高尚な大人の匂いがした。子どもの読むものではないと思った。だが数年後、衝撃を受ける。

「はい、スラムダンクだよ~」

ドサッと重たそうな音をたてて、紙袋をテーブルに置く母。中を見ると山積みのスラムダンク。友人から借りたのだという。第一巻を手にとり、あれ、と思った。表紙が私の記憶と違う。

「えっ?これがスラムダンク?」母に訊いた。
「そうだよ」
「母さんの本棚にあったやつは?」
「あれは最終巻だけ」

・・・なんでだよ!なんで最終巻だけ本棚においてあるんだよ!

スラムダンクで人生変わった

ひどすぎるネタバレをくらった私は、「天才ですから」で終わるんでしょ。はいはい、知ってますよ、と思いながら、一巻を読んだ。そしたら、

めちゃくちゃ、おもしろかった。

結末を知っていてもなお、スラムダンクは、嘘のようにワクワクするものだった。バスケがしたくてたまらなくなった。忘れもしない。小学五年生のときだ。あれから二十年が経つ。スラムダンクを読むと、バスケ部の思い出が蘇る。

ミニバスの全国大会に出たこと。
小学生なのにダンクしてるやつがいたこと。
そいつのわき毛がボーボーだったこと。
中学の練習がきつくて逃げたこと。
魚住みたいに吐いたこと。
先輩がたばこを吸ったこと。
それに顧問がブチ切れたこと。
そのせいで二年間トイレ掃除をしたこと。

…あれ、あんまりいい記憶がない? でも、今も社会人サークルに通うくらい、バスケが大好きだ。スラムダンクに出会わなければ、間違いなく人生が変わっていた。私のバイブルである。

例えだけでも布教したい

そんなスラムダンクを、最近の若いひとは読まないのだ、と聞いたときは衝撃を受けた。2020年8月11日に放送されたTBSの「この差って何ですか?」での話だ。知らないだけならまだいい(よくないけど)。驚いたのはそれだけではない。

「おじさんが何かとスラムダンクに例えてくるのが不快」

という意見まであったのだ。そんな寂しいこと言わないでほしい。おじさんを代表して言う。ちょっと場を和まそうとしただけなの。コミュニケーション。そう、コミュニケーションなの。通じなかったのなら、ごめんなさい。おじさん、鬼滅とか、呪術廻戦とか、分かんなくて。どうか許して。

でもやっぱり寂しい。

これからもスラムダンクの例えを使っていきたい。若者には申し訳ないけれど、10個だけ覚えて帰ってほしい。スラムダンク読まなくてもいいから(本当は読んでほしいけど)、おじさんのお願いだから、スラダン例えだけ、紹介させて。

スラダン例えに使いたい名セリフ10選

第10位 大好きです。今度は嘘じゃないっす。

大好きです。今度は嘘じゃないっす

by バッシュ買い叩きのプロ・桜木花道

コミックス第三十巻の山王工業戦にて、主人公の桜木花道から飛び出した一言が「大好きです。今度は嘘じゃないっす」である。

第一話で片思いの相手・晴子に「バスケットはお好きですか?」と聞かれた花道。「大好きです。スポーツマンですから」と息をするように嘘をつく。

これがきっかけとなり、晴子の気を引くために、バスケ部に入部する。初めは恋の道具にするつもりだったバスケット。いつしか心の底から大好きになっていた。

山王戦で桜木は、選手生命の危機とまで言われる大けがを負う。痛みのあまり記憶が混濁する桜木。朦朧とするなか思い出したのは「バスケットはお好きですか?」という晴子の声だった。

心の底から答えた「大好きです。今度は嘘じゃないっす」。三十巻越しの伏線回収となった。

普段の生活で「大好きです」と言うとき、必ずと言っていいくらい、「今度は嘘じゃないっす」を付け加えたくなる。だけど「何が嘘なの?」と冷ややかな顔を向けられるのは明白なので、実際に言ったことはない。あまりに使いづらいので第10位とした。

第9位 いいからテーピングだ!!

いいからテーピングだ!!

by 高学歴ゴリラ・赤木剛憲

県大会決勝リーグの海南戦。湘北高校のキャプテン・赤木剛憲(通称ゴリ)は、足首を負傷する。すぐに病院に行くべきだというマネージャ・彩子に対し、語気を荒げて「いいからテーピングだ!!」と言い放つシーンがある。

「いいからテーピングだ!!」には、骨が折れて歩けなくなってもいいから、この試合だけは勝ちたいというゴリの3年間の思いが詰まっている。ゆえに心を打つ名場面である。ゴリが言っていないセリフで「いいからドーピングだ!!」も有名だ。

例えどころとしては、ちょっとセロハンテープを貼りたいときに「いいからテーピングだ!!」と叫びながら貼ると良い。これも使いどころが難しいので第9位とした。

第8位 モップはてめえが・・・

モップはてめえが・・・

by 素行の悪い聖人・鉄男

遅れてきた反抗期・三井寿が体育館を襲撃した際、三井軍団の頼れる喧嘩番長だったのが「鉄男」である。モップの正しい使い方を三井に教えるなど(棒の部分でなく金属の角で殴るのが不良のマナー)、頭のキレる愛されキャラだ。

そんな鉄男も、本気を出した桜木の前では無力であった。「今のはシオの分」「次はカクの分だ」と傷ついた仲間の分だけ、桜木の容赦ない反撃が鉄男を襲う。

なんだ、桜木って義理堅いやつじゃないかと周りが感心しだしたころ「まだだ…。次はタバコおしつけたボールと折られたモップの分」と桜木が最後の一撃をお見舞いするのだが、モップを折ったのは鉄男ではなく桜木である。

あまりに理不尽な言い分に、さすがの鉄男も心の中で「(モップはてめえが…)」と呟くが、問答無用でぶっ飛ばされるのであった。

読者のみなさまも、生きていれば理不尽な目の1億や2億、出会ったことがあるだろう。そんなとき「○○はてめえが…」と鉄男のように心の中で呟せば、やり返せはしないが、相手は言葉の通じない理不尽大王だと諦めがつくものである。

第7位 お前は鰈だ。泥にまみれろよ

お前は鰈だ。泥にまみれろよ

by 銃刀法違反経験あり・魚住純

「お前に華麗なんて言葉が似合うと思うか赤木。お前は鰈だ。泥に塗れろよ」は、板前兼選手で赤木(ゴリ)の永遠のライバル・魚住純の言葉である。

高校最強センター・河田兄(通称丸ゴリ)に完全にのまれてしまった赤木を、正気に戻すために放ったセリフだった。

華麗と鰈をかけたスーパーギャグである。これがやりたいがために、神奈川からはるばる広島まで、板前の格好で駆けつけた。手には桂剥きのための包丁。その後、警備員に取り押さえられるまでが魚住ギャグである。

もしみなさまの身近に分をわきまえず上手いことやろうとして自分を見失っている人がいたら、「お前は鰈だ。泥に塗れろよ」を使ってみていただきたい。

第6位 あきらめたらそこで試合終了だよ

最後まで…希望をすてちゃいかん。あきらめたらそこで試合終了だよ

by Mr.二重人格・安西先生

三井寿がまだ反抗期に入る前、中学の大会で負けそうになったとき、安西先生にかけてもらった言葉が「あきらめたらそこで試合終了だよ」である。

何かと諦めがちな現代人に刺さる名言である。

ちなみにこの言葉に感動した三井は、安西先生のいる湘北高校に進学し、一年生で怪我をしたことに腐って、簡単にバスケを諦めた。

第5位 安西先生…!! バスケがしたいです……。

安西先生…!! バスケがしたいです……。

by 遅れてきた反抗期・三井寿

ついさっきまで「ぶっつぶしてやる」とか言ってた三井が、安西先生を目にしたとたん「バスケがしたいです…」と泣き崩れ、情緒不安定っぷりを発揮した名シーンである。

どうしようもない不良キャラだと思っていた三井は、実はバスケが大好き。好きな子にちょっかいを出す小学生男子的なノリで、体育館を強襲してしまう、とんだおちゃめさんである。

スラダンの中でも屈指の有名シーンなので、「◯◯がしたいです…」のように「したいです…」をつけておけばダサい三井感が出て面白くなる。汎用性の高いフレーズである。

第4位 敗因はこの私

敗因はこの私。綾南の選手たちは最高のプレーをした!!

by 実は人格者・田岡茂一

仙道と魚住を擁する、神奈川県屈指の強豪校「陵南高校」の監督といえば、田岡茂一(たおかもいち)である。決めつけと偏見の強さが売りの監督であり、「こいつが穴だ」と思った選手に試合を決められがちである。

陵南が全国大会に進めなかった最大の理由は間違いなく田岡茂一なので「敗因はこの私」というセリフは当たり前の事を言っているだけである。しかし、言い訳をしないその姿勢が「人格者っぽい」ため、田岡っていい奴なんじゃね?と錯覚させられる。

例えどころとしては、何かに失敗した時である。「敗因はこの私」と言っておけば、田岡茂一のように人格者っぽい雰囲気を漂わせることができる。

第3位 まだあわてるような時間じゃない

まだあわてるような時間じゃない

by 重力に逆らう髪型・仙道彰

陵南のエース・仙道彰の名台詞が「まだあわてるような時間じゃない」である。

キャプテンの魚住が不用意なファウルで退場の危機に陥り、三井の3ポイントシュートで逆転される。残り時間も少ない。かなり絶望的な状況だが、頼りになる仙道の「まだあわてるような時間じゃない」で陵南の選手は冷静さを取り戻し、息を吹き返した。

両手の平を床に向け、首を横に振りながら言うのが正しいフォーム。

「ちょっと落ち着け」と言いたいときに使うのがオーソドックスだが、もはや手遅れな状況であえて「まだあわてるような時間じゃない」と仙道の真似すると、場をなごませることができる。

第2位 まるで成長していない…

まるで成長していない…

by 断固たる決意で黒染めしない男・安西先生

安西先生が大学で監督をしていた時代、長身で運動能力のある選手・谷沢にほれ込み、才能を伸ばそうと厳しく指導していた。しかし、谷沢は「自分は褒められて伸びるタイプ」という確信があったため、デビル安西の指導についていけなかった。

さらには「バスケットのアメリカの空気を吸えば高く飛べる」理論にもとづき、アメリカにバスケ留学という名のバックレをした。その谷沢のアメリカでのプレーを久々に見た安西先生の心の声が「まるで成長していない…」であった。

まったく進歩が見られない人間に対する、素朴な感想が「まるで成長していない…」である。不器用でなかなか成長しない自分に使ってもよし、他人を煽るために使ってもよし、非常に汎用的に使えるワードである。

第1位 ディフェンスに定評のある池上だ!

ディフェンスに定評のある池上だ!

by 名無しの観客

原文は「3年の池上だ!! ディフェンスに定評のある池上を神(じん)に!!」である。陵南高校の名脇役・池上の登場シーンで、観客の誰かが掛けた声が「ディフェンスに定評のある池上」であった。

いかにも強者な風に語られる池上であるが、実際にディフェンスが脅威な描写は少なく、いったい誰が池上に定評を与えたのかという引っ掛かりを覚える表現である。

本当にすごい人を褒めるのではなく、そこそこ凄い(のかも?)くらいの人を褒めるときに「◯◯に定評のある」という便利なフレーズがあることを、世に知らしめた。使い心地がすごくいい。

「◯◯に定評のある」の◯◯には、微妙にすごくないことを入れるとウケる。たとえば「サラダを取り分けるスピードに定評のある女子」や、「空気の読めなさに定評のある俺」といった場面で、使ってみていただきたい。

まとめ

スラムダンクを読んだことがないひとのために、例えに頻出される名セリフを10個紹介した。私はこれからもこの10個をガンガン使っていくけれども、どうか嫌な顔をしないでほしい。

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