ツッコみ消費税が8%どころではない

コラムの第43回。

ツッコミ消費税 
【つっこみしょうひぜい】センスあるワードを残したくて仕方のない自我の強いツッコミ。ボケた側は笑いの消費税をとられたような感覚になり気持ちよくない。類語:手柄泥棒

そういうつもりはなくても、人の手柄を奪ってしまい、後からあれはよくなかったなあと反省することがあります。

以前、会社の後輩に誘ってもらい、仲のいい何人かと食事をさせてもらいました。そのとき、若手のYくんが女性とデートした話をしてくれました。聞くと、会社の新入社員研修で意気投合したとのこと。

実はこの新入社員研修、毎年何組ものカップルが誕生するのですが、Yくんは純朴そうな見た目なので、積極的にアプローチするタイプには見えません。意外とガツガツしたところがあるんだなあと驚きました。そしたらYくん、

「最初のデートで競馬に行ったんですよー」

と言い出すではありませんか。え、競馬? Yくんが競馬好きなのは知ってましたが、初デートに競馬選びます? 普通は映画か食事だと思うのですが…。

「次のデートも競馬でー」

なんと二回目のデートも競馬に誘ったらしいです。お相手の女性も競馬好きなのかというと、どうやらそうでもないらしい。完全にYくんの趣味に付き合わせています。

「それ以来、既読スルーされるようになりました」

そうでしょうね!と我々の総ツッコミが入りました。「でも、二回とも勝ったんですよ?」とYくんは主張しますが、そういう問題ではありません。

Yくんよりちょっと年上のNくんが「二回目のデートは、相手が好きなところに行くんだよ」って教えてあげてました。

いやー。Yくんとあんまり話したことなかったんですが、相当おもしろい人でした。Yくんのおかげですっかり場が和やかな雰囲気に。ほんまありがとうと感心しました。

そこで終わっておけばいいものを、私はYくんの振られエピソードにひと言足してしまいました。

「ウマが合わんかったんやなぁ」

ちょうどいいタイミングでこのワードを出せたので、場が湧きました。「落語みたいなオチw」って言ってもらえたりもして。それはもう気持ちよかったです。

ですけど、後で大反省。余計な一言だったと気づきました。あの場面は、後輩のYくんに主役を譲るべきだったはず。Yくんのトークだけで十分に笑いが起きていました。

それなのに「ウマが合わない」なんて付け足して、最後の美味しいところを持っていき、エピソードトークの手柄泥棒をしてしまったのです。Yくんには申し訳ないことをしてしまいました。

こういう手柄泥棒なひと言のことを「ツッコミ消費税」と呼ぶらしいです。

佐久間宣之さんのYouTube NOBUROCK TVに出演されたインパルス板倉さんが生み出したこの言葉。ボケた人を気持ちよくしないばかりか、消費税のように問答無用で笑いの手柄を奪っていく行為をうまく表しています。

もしあの食事会でひと言付け足すのであれば、Nくんの「二回目のデートは相手の好きなところに行くんだよ」に対して、「いや、一回目から競馬がおかしいやろ!」という違和感にツッコむべきだったなあと思います。その方が、Yくんがフィーチャーされて気持ちいいんじゃないかと。

ツッコミ消費税みたいなことって、他にもあります。

これは私の新入社員研修のときの話ですけど、研修グループのリーダーに立候補したんですね。そういうの苦手なはずなのに。会社に入りたてで「お前らとはひと味違うんだ」と示そうとしてたんですね。つまり、イキってました。

リーダーってことで、自分なりに頑張りました。仕切りとか。慣れなくて大変でした。それで、最後の懇親会でスピーチさせてもらうとき、いかに研修が大変だったか、自分がどれだけ苦労したかを話しちゃったんです(しかも笑いの一つもとらずにマジなトーンで)。

この懇親会の帰り、研修を担当してくれた教官にこっぴどく怒られました「きみはリーダーに向いてない」って面と向かって言われたりして。シュンとしたのを覚えています。

このときの私はまさにツッコミ消費税野郎でした。研修で頑張ったのはあくまでグループのみんなであって、自分はそのお手伝いをさせてもらったに過ぎません。

「みんなのおかげで研修乗りきれました!ありがとうございました!」

普通ならこんな風に感謝を伝えるものです。それを消費税のように手柄泥棒したのですから、まさに最悪のリーダーでした。

あれから8年経ちました。周りを立てることを覚えたと思っていましたが、Yくんにツッコミ消費税してしまうあたり、全然成長してなかったということですね。

もっと気をつけようと思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました