千原ジュニアさんに学ぶおもしろく話すコツ

コラムの第47回。

Youtubeを見ていると「すごいなぁ。めちゃくちゃ勉強になるなぁ」という動画に出会うことがあります。そのときは「もう一生忘れんとこ」と思って脳味噌のしわに深~く刻み込むですが、結局すぐに忘れてしまい、気付いたら同じ動画を何回も見てた、なんてことが多いです。

今回紹介するのは、そういうものの一つ。千原ジュニアさんのトーク力の秘密を解説した動画です。新R25チャンネルさんが公開していますので、ぜひ下のリンクからどうぞ。この記事では、特にすごいなぁと思った部分を文章でお伝えしようと思います。

新R25チャンネル「おもしろく話す」ために一番大切なことは何ですか?千原ジュニアさんに聞いてみた
新R25チャンネル「すべらない話のリハで嫌味を言われて…」千原ジュニアが暗黒時代から抜け出した瞬間
一番大事なのはトークの映像化

ジュニアさんほどトークが達者な人は、なかなかおらんなあと思います。たとえば、私が好きなジュニアさんの小噺に、こんなものがあります。

「サルエル」

ジュニアさんが出演されているある番組で、フロアディレクターさんが、サルエルパンツを凄い腰履きではいていました。

すると、演者の中で「あれ、何ていうんだっけ?」「サロペットじゃない…。サルエルやったっけ?」みたいな話になったそうです。そんなやりとりを、ジュニアさんは「自分やったら履かへんなぁ」と見ていました。

当時39歳のジュニアさんですらその感覚です。もっと年上の世代になると、サルエルパンツへの目はさぞ厳しいものになるでしょう。

「フロアでいろいろ動かなあかんのに。あんな動きにくい格好して。なんやねん、今どきのDは」と。否定的な意見になるのが普通です。しかし、その場にいた関根勤さんは、誰にいうでもなく、こう言ったそうです。

「股間が蒸れなくていいよね」

これは凄いひと言やなあとジュニアさんは思いました。このひと言が出るのは、いかに日々を楽しく、いろんなことを許して生活しているかの証拠です。なんか「凄いデカいなぁ」と。あのサルエル以上に、心のサルエルがデカかった話でした。

千原ジュニア著「はなはだ、便所は宇宙である」

この話を初めてきいたとき「凄い描写やなぁ」と思いました。関根さんがポツッと喋った雰囲気が伝わってきますし、それをたまたま聞いていたジュニアさんの「このひと言いえるの凄いな」という驚きがよく分かります。笑える面白さもさることながら、話に引き込まれます。

もし私だったら、こんな風に話すでしょうね。

「関根さんがサルエルパンツみて股間が蒸れなくていいよねって言ってて凄かった」と。はい、おもしろくないですね。私のトーク力なんてこんなもんです。私とジュニアさん、いったいなにが違うのでしょうか。

その答えは「トークの映像化」にあります。ジュニアさんは「面白く話すために一番大事なことはなんですか?」とインタビューされたとき、こう答えました。

自分の頭に浮かんでる映像と、ほぼほぼ同じ映像を、聞いている人の頭に浮かべさせた状態でずーっと話続けられるか。面白くなるコツはそれに尽きると思います。

たとえば、こんな話をするとします。

ラーメン屋で客とオヤジが喧嘩をしている。「てめぇ!おもて出ろ!」と言って外に出ていった。

これを聞いた人は、「てめぇ」と言ったは客とオヤジのどっちなのか?という疑問が頭に浮かびます。こうなると話が破綻し出す。聞く人の頭に映像として浮かびません。この場合は、客が「てめぇ!」と言ったんだと伝えてあげることが大事だったんです。

面白さって、どれだけ話に映像としてのリアリティを持たせられるかなんですね。誰が話してるみたいな基本的なことはもちろん大事ですし、ジュニアさんの著書を読んでいると「具体的なエピソードトーク」をどれだけ高密度に詰め込めるかみたいなコツもあるように思います。

ジュニアさんは、何か特別に意識してお話のトレーニングをしたわけではないそうですが、トークの映像化に関しては兄せいじさんの影響が大きかったみたいです。

家に帰ってせいじさんと話してたら「それ誰のセリフやねん、よう分からんわ」と言われて育ってきたと。へぇー、兄弟の会話が自然とトークの練習になってたんですね。

情報を出す順番を意識する

トークの映像化に関しては自然にできるようになったジュニアさんですが、意識してやってることもあるそうです。

それは「どの順番で喋ったら面白くなるやろか」という話の組み立てのこと。具体例として出した話がめちゃくちゃ分かりやすかったので紹介します。

「千と千尋」

ある日、ジュニアさんは友人の家でご飯を食べていました。その家には子どもがいて、テレビを見ていたそうです。画面には千と千尋が映っている。「あぁ。地上波で千と千尋が流れてるんやなぁ」と思ったジュニアさん。しかし、あとあと聞くと、それは何年か前に地上波で流れていたものを録画してDVDを流していたようです。

ぱっと見たら、ちょうどCMになったところでした。すると、TOKIOの山口さんが車を運転していて、ピエール瀧さんが便座の上に座っていて、西内まりやさんがヨーグルトかなんか勧めていて、最後には、部屋を渡部さんが掃除をしているではないですか。不祥事で見なくなった人たちに「数年前はこんなやってんや」と驚いたジュニアは、こう思いました。「いま、みんな神隠しにおうてるやん」

ジュニアさん曰く、この話のポイントは「これが数年前に」っていうのを先に出しているところだそうです。これが順番を変えて後に言ってしまうと笑いにならない。聞いている人の頭に「数年前のDVDである」がインプットされていないと、不祥事起こした人がCMに出てるってところで引っかかるんでしょうね。

この他にも、下の句「神隠し」で最後に落とすなら、それは最初に言わんほうがええな、ということも計算しているそうです。

「凄い分かりやすい説明だなぁ」と思いました。ほんとに細かい順番まで気を配って考えて喋ってるんですね。プロってすごいなぁ。

そういえば、どこで聞いたか忘れましたけど、松本人志さんが「お笑いって7並べみたいなもんやねん」って言ってたらしいですね。「手札をどの順番で出したら面白いかを考えるってことやねん」を「7並べ」で絶妙に例えたんだと思いますが、言っていることはジュニアさんと共通していますね。

社長はたとえ話がうまい

あともう一個、すごく心に残った話があります。

ジュニアさんがあるとき、起業家を呼んで、就活生に向けた話をずーっと聞かせてもらうみたいな番組をしていたときのこと。そのとき、本当にいろんなCEOとか、年商何百億みたいな会社のトップの話を聞いたそうですが、そこで全員に共通していたのが「たとえ話がめちゃくちゃうまかった」ことだったらしいです。

なぜ、みんな例え話がうまいのでしょうか。ジュニアさんは、こう考えました。「社長というのは、賢い人からアホまで全員に言いたいことを伝えなきゃだめな仕事だ。いかに分かりやすく、満遍なく隅々まで伝えようと思ったら、何かに例えるしかないんだろう」と。

たとえば、「なぜ自分で起業しようと思ったんですか?すごく怖いし危険なのに?」と起業家に聞いたら、こんな例えが返ってくるんです。

「例えば、山道を車で80キロで走るとして、他人の助手席乗ります?どうせ事故るなら自分でハンドル握った方がいいでしょ」

それを聞いてジュニアさんは「なるほど」と思いました。すごくうまい例えですよね。社長に限らず、芸人でも売れてる人はみんな例え話がうまいそうです。みんなに分かりやすく伝えたいというサービス精神が旺盛な人は、自然と例え話を磨く方向にいくんですかね。

結局は、武者修行なのでは?

今回は、ジュニアさんの面白く話すコツをまとめました。コツは「トークの映像化」「情報の順番を意識する」「例え話を磨く」の三つでした。

しかし、私はもっと重要なことがあるなと思うんです。ジュニアさんは謙遜して絶対喋らないですけど、話が面白いかどうかは、結局のところ、どれだけ緊張感もって「面白く話そう」と人前でトークしてきたか、その蓄積量なのではないかと。

というのも、千原ジュニアさんは「チハラトーク」という毎月2時間のトークライブをされてます。2時間持たせるためには、毎月15個くらいトピックを用意しとかないかんという感覚なのだそうですが、毎月15個すべらない話を考えるって、どれだけストイックに練習してんねん!て話です。

私なんか33年生きてきて、すべらない話を人前で披露したことが1個もないですから。武者修行の量が全然違うんです。それを修行もせず、コツだけパクろうとしたってダメですよね。「あぁ、プロの話にこんなコツがあるんやな」と知っておくくらいにして、人前で喋らないかんな、と思いました。

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