読書感想12.「あながち、便所は宇宙である」千原ジュニア

読書感想の第12回。

ちょっとした違和感に「んっ?」って気付ける人っているんですね。

お笑い芸人・千原ジュニアさんの家のトイレには、一冊の黒いノートが置いてあるといいます。トイレで物思いにふけることが多いジュニアさんは、パッと思いついたことをノートに書き残すのだとか。それがSPA!で連載になり「すなわち、便所は宇宙である」という本まで出されました。

今回読んだのは、ジュニアさんの便所本シリーズの第3巻にあたる「あながち、便所は宇宙である」です。1巻も2巻も面白かったですが、変わらぬクオリティで漫談を量産されるジュニアさん。この1冊に面白エピソードが88本入ってますからね。凄いですよ。

3冊も立て続けに便所本を読んでいると、だんだんジュニアさんの世の中の見方みたいなものが分かってきて、ちょっとしたことに「んっ?」と思えるようになりました。観察眼が鍛えられたというか、なんだか好奇心がお腹空かせてきた感覚です。

たとえば、この本を読んでいたのは東京にいく飛行機の中だったんですけど、その機内でこんなことに「んっ?」と引っかかりました。

おっちゃん、逃げさしてくれ

飛行機に乗るとき、私は膀胱が弱いので、1時間のフライトであっても必ず通路側の席を取るんです。もし窓際だったら、トイレ行くときに一回横の人に立ってもらわないといけないじゃないですか。あれが苦手で。極力迷惑を掛けたくないんです。

だから今回もいつも通り通路側に座っていたんですけど、もう飛行機動くぞって時間になっても隣の席が空いています。「横の人キャンセルしたんかな?」と思っていると、50歳くらいのおっちゃんがハァハァ言いながら機内に入ってきました。

「すんません」

おっちゃんに話かけられました。あぁ、奥の席の人か。間に合ってよかったですね。そう思いながら、ベルトを外して立ち上がった私は、一回通路に出ておっちゃんが通れるスペースを作ろうとしました。

しかし、私が通路に出ようとしているのに、おっちゃんが出口を塞ぐようにして立っています。いやいや、おっちゃん、立ち位置ずれてくれんと。一回、私を通路に逃げさして笑。じゃないと入れないんですよ。

おっちゃんも「あっ!そうかっ!」って感じで気づいて。横にパッと避けてくれました。ちょっと変な人やなぁ~、でも「まぁええか」と思って、ベルトして本を読もうとしたんですけど。

「すんません、バッグが」

またおっちゃんに話かけられました。聞くと、上の手荷物入れのバッグの中に何か忘れものしたと。それで、もっかい通路に出たいのだそうです。「そんなの全然いいですよ~」と言って、私も立っておっちゃんを通路に出してあげたんですね。で、私はちょっと座って待ってたんです。

忘れ物をゲットしたおっちゃんが戻ってきました。私はベルトせずにすぐ通路に出れるように待機してますから。パッと立ち上がって通路に出ようとしたら、目の前におっちゃんの顔。えー…。また通路塞いで立ってるやん。

二度目ともなると「んっ?」と引っかかります。一回逃がす発想が苦手なんかなぁ。ラムネ飲むときどうしてるんやろ、とモヤモヤしてしまいました。

…いやぁ、おもんないエピソードですね。ジュニアさんの真似してみましたけど、私ただただ細かいやつですね笑。ジュニアさんは些細なことでも面白く伝えるので、凄いなぁと思います。

たとえば「あながち、便所は宇宙である」では、こんな些細な話がありました。

ジュニアさんに目が点

所さん司会の「一億人の大質問!?笑ってコラえて!」にゲストで出演したジュニアさん。番組でVTRを見ていたところ、そのひとつにイタリアのファッションブランド・ミッソーニを特集したものがありました。

創業者である90歳のミッソーニ夫妻、そしてその家族をカメラは追っていきます。「これは日本の食べ物です」とスタッフがミッソーニに味噌煮を持っていく、というくだりもありました。

ミッソーニはもうおじいちゃんなのですが、デザイナーですから、すごく派手なジャケットを着ています。それを受けて言った所さんのひと言がコレです。

「ジュニアくん、たくさん年をもらってから派手な服を着るのって、いいね」

スタジオの中の誰もがスーッと流していましたが、ジュニアさんだけはそれを聞いて「やっぱり所さんは凄いな」と思ったそうです。

というのも、年はとるもんじゃない、年はもらうもんだと。所さんは年をとるという、どこかネガティブな言い回しにきっと腹が立っていたんだ、そんなふうに自分が「ん!?」と引っかかったことに対しては、自分が納得できる答えを出してきはったんやろうなとジュニアさんは想像したから「凄いなぁ」と思ったんです。

私びっくりしました。そんな些細な言い回しに気を配れる所さんも凄いですが、それに気付くジュニアさんも相当です。言葉センサーの感度が高すぎるジュニアさんに目が点ですよ。

そして、ジュニアさんの凄いポイントはもう一つあります。こんなええ話なら、普通に「凄いと思った」で十分なトークです。しかし、オチまで一直線にスーッと行くのではなく、「ミッソーニに味噌煮を持っていく」という面白パウダーを少しふりかけてるんです。

話の流れ的には味噌煮のくだりがいりませんが、「この辺でクスッとさせた方が聞き心地がええやろな」ときっとジュニアさんが気を配って入れたんでしょうね。勉強になります。

なんでそんなことなんねん

短いですけど、こんな話も本に載ってて好きでした。

ドラえもんの声優をやってはった大山のぶよさん、ねずみ年生まれなんですよ。12個も干支があるのに、なんでそんなことになんねん笑

なんでそんなこと覚えてんねん笑。ジュニアさん、些細なところに気づきすぎです。

グレープフルーツに違和感はみんな通る道?

ぶどうを表すグレープという言葉があります。しかしグレープフルーツという果物もあります。いやいや、グレープもフルーツですから。ほんま、鈴木さんと鈴木人間みたいな。いや、鈴木さんも人間ですから。

ジュニアさん、本の中でグレープフルーツというネーミングにツッコんでいるのですが、このツッコミ方式、インパルス板倉さんと同じだなぁと思いました。

板倉さんは「屋上とライフル」という著書の中で、グレープフルーツというネーミングはひどすぎやしないか、というコラムを書いています。しかも、どのくらいひどいのかを例えるとき、同じアパートに住む田中さんを「田中人間」と呼ぶくらいひどいのだ、と表現しているんです。

一緒です。人間を比喩に使うところが一緒。

私、はじめて板倉さんの「グレープフルーツ=田中人間と同じ」理論を聞いたとき、そう言われてみたらひどいネーミングだな笑、と感心した記憶があります。芸人さんの着眼点って凄いなと。

そしたら、ジュニアさんも同じ例えをしているではありませんか。お笑いセンスのある人って、みんな一度はグレープフルーツに違和感を感じるものなんですかね?それでみんな人間で例えていく感じなんですかね。

なんだか「違和感を感じる」という表現にも違和感感じてきました。あぁ、もう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました