くだらない正解にこだわらないのが令和の浪漫

コラムの第52回。

正解の方が面白くないことって結構あります。

千葉ディズニーランド

たとえばディズニーランド。千葉県にあるので「千葉ディズニーランド」が正解です。なのに、東京ディズニーランド。厳密には間違いです。が、やっぱり枕詞に東京があると「首都に来た!」という感じがしてワクワクします。つまり、正解の方が面白くないんです。

ちなみに、メキシコにはチバ(Chiva)という麻薬があるらしいですね。海外から見たら、チバディズニーランドだと別の意味で夢の国になってしまうという事情があったのかもしれません。

舞浜の由来

東京ディズニーランドにまつわる話をもう一つ。

東京ディズニーランドは、千葉県の浦安市舞浜にあります。もともと海だったところを埋め立てて作ったので、地名がありませんでした。そこで、本場アメリカのディズニーランドがある「マイアミビーチ」をもじって「舞浜」と名付けたと言われています。

初めて聞いたときは「洒落てるな~」と思いました。ガイドブックにも載っている豆知識なので知っている人もいるかもしれませんね。でも実はこれ、嘘らしいです。正解は、マイアミビーチではなく「浦安の舞」という巫女神楽が由来なのだとか。

「ほんまは浦安の舞が語源やのに、みんな全然信じてくれへん…」

ディズニーランドを千葉に誘致した功労者は、生前嘆いていたそうです。ところが、最近になって昔の資料が見つかり「舞浜の語源は、浦安の舞」という証拠がでてきた。そして2019年には浦安市の公式HPが「浦安の舞説」に書き換わるという騒動になりました。

誘致功労者の願いが通じた良い話です。しかし、正解である「浦安の舞」よりも、マイアミビーチ説の方が切れ味がよくて気持ちよかったなあと思ってしまいます。

FAMILYの語源

こんな話もあります。お笑い芸人のラフ次元さんが言っていたのですが、家族を意味する英語の「FAMILY」は、ある言葉の頭文字を繋げたものだという説があるそうです。

ある言葉とは、Father And Mother I Love You。お父さんとお母さんが愛してると子を思うあったかい気持ち。それがファミリーなのだと。めちゃくちゃ気持ちいいですね。

しかし、世の中はこんなことを言う人がいます。「いやいや、それ諸説あるよ。間違っているよ」と。無粋やな~。確かに、誰かが後付けで創作したっぽい説ですが、こんだけ切れ味いいなら、もう正解でいいじゃないですか。と思ってしまいます。

M-1王者もくだらない正解にこだわらない

先日、M-1を見ました。めちゃめちゃ面白かったです。特に、トップバッターだった令和ロマンさんの漫才にしびれました。というのも、令和ロマンのお二人の漫才から「正解の方が面白くないことあるよね」ってメッセージが溢れ出てて、すごく共感できたんです。

ネタを少し紹介しますね。

パンをくわえた少女が「遅刻しちゃう~」と走っている。すると、角から出てきた転校初日の男の子にバーンとぶつかって転ぶ。「いった~。ちょっと気をつけなさいよね!」その後、少女は学校に着き、教室へ。「転校生を紹介するぞ~」先生がガラガラっとドアを開く。すると「あっ!あんたはさっきの!」「お前はさっきの!」二人の物語が始まる…。

これは少女漫画によくあるシーンです。でも、待ってください。よく考えると方向がおかしいんです。

少女は学校に向かって走っている。同じく学校に向かっている男の子が飛び出してくる。でも、もしぶつからなかったら、男の子は方向的に少女の前を横切って、勢いよくどっかに行くことになります。えっ!?じゃあ学校どこにあるん!? これは気付きませんでした。

そこから、だんだん妄想が膨らんで、漫才が展開していきます。面白いなあと思って聞いていると、二人が途中で、ある可能性に気付くんです。

少女は急いでいたから裏門に向かった…。でも転校生は裏門を知らないから正門に向かった…。「そうか!二人は違う門に向かってたんだ!」

普通なら「正解にたどり着いたぞ」と喜ぶところです。しかし、ボケ担当の高比良くるまさんは外してきます。「ちょっと待って、あんまこれ面白くない」と言って、せっかく見つけた正解をポーンと投げ捨てるんです。ここで会場がドカーンと湧きました。

お客さんも「その正解おもんないな」とうっすら気付いていたのでしょう。だから「あんまこれ面白くない」とくるまさんが言ったときに共感が生まれて、大きな笑いになったのだと思います。

そして最後。二人の漫才はキラーワードで締めくくられます。

「どうでもいい正解を愛するよりも、面白そうなフェイクを愛せよ」

すっごい興奮しました。何が凄いって、最後のこのひと言はウケてないんです。一番盛り上げたくなる最後でウケを狙わずに、メッセージ性の強いワードを残してサラッと終わる。しびれました。

審査員の博多大吉さんは低めの点数を付けました。「最後がもったいなかった」と講評しました。しかし、私はこう思うんです。今の時代、しつこく笑いを取り続けるだけが漫才ではないなと。心に刺さる「ええ言葉」で締めて感動を与える。めちゃくちゃ先鋭的でロマンティック。まさに、令和の時代のロマンやなと思いました笑。

正解ばかり追い求める頭の固い大人ではなく、遊び心を忘れない人でありたいものですね。

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