アメリカ滞在中にレストランで見つけた「ウェイグ」という食べ物の話

コラムの第62回。

変な食べ物の話です。

今から4年ほど前。仕事の都合で、アメリカの大学に通うことになりました。広大な芝生のキャンパスを歩くと、レンガ造りで威厳のある、化学部の校舎が見えてきました。出迎えてくれたのは身長190cmのT先生。私は英語ができないながらも、身振り手振りで挨拶をしました。

そのままT先生の研究室へ。学生さんは、みんな良い人ばかりでした。出会って数日もすると仲良くなり、「ウェルカムパーティーだ!」と、大学の近くのレストラン(っぽいバー?)に連れていってくれました。

初めて入る現地のレストラン。知らないものばかりです。ふとメニューに「バッファローウィング」と書いてあるのが気になりました。何だこれ?カッコイイ名前だなぁと思い、目の前にいたT先生に「これ何ですか?」と聞いてみると、「それはね、辛い鶏だよ」と教えてくれました。注文すると真っ赤な手羽先が出てきました。たいへん美味でした。

またメニューを見ると「ウェイグ」と書いてあるのが気になりました。またまたT先生に「これ何ですか?」と聞くと、「それ日本食だよ!知ってるでしょ(笑)」とツッコまれました。wagu。ウェイグじゃなくてワグー。ワグー。ワグー。あ、和牛か。意味が分かると、ちょっと恥ずかしかったです。アメリカ人に初めてツッコまれました。

ということがあり、「アメリカでは和牛のことwaguって書くんだ~」って知れたのは新たな発見でした。スシとかスキヤキみたいに、日本語がそのまま浸透してアメリカ人に覚えてもらえていることって、日本人としてちょっと誇らしい。

でも、やっぱり恥ずかしかったなぁ。と思って、ネットで調べると和牛は英語で「wagyu」と言うのだと書いてありました。え。あの店、完全に「wagu」って書いてたけど、思いっきり間違ってるやん。変な日本語、浸透させんといてほしわ~(笑)T先生も「ワグー」言うてたし。いまさらワギューですよとは訂正しづらい。

他には、ramen(ラーメン)とか、sake(サケ:酒)とか、けっこう日本語そのままやんってものが見つかって、面白かったですね。bento(ベントー:弁当)みたいなのもありました。日本語使ってるってことは、その方が語感がいいんですかね。

反対に、英語で言うとめちゃくちゃカッコイイなあという言葉もあるなと思いました。たとえば、学生のE君が実験室の机で、背中を丸めて夢中で本を読んでいたんですね。気になって「何読んでるの~?」って声をかけたら、めちゃくちゃいい発音で「ファンタズィ~」って返されたときは「かっけー!」と思いました(笑)ファンタジー小説だよって言われただけなんですけども。生ファンタズィーには痺れるものがありました。

あと、意外だなあと思ったのは、アメリカの漫画事情です。本屋行ったらワンピースだ、ナルトだ、ヒーローアカデミアだ。もう日本の漫画だらけなんです。日本の漫画とアニメは、世界に誇れる文化だなあと思いました。でも、日本で有名なあのアニメにまつわるものはお目にかかりませんでした。そう、アンパンマンです。

うちの子たち(1歳、4歳)はアンパンマンが大好きですし、日本でどの子どもを見ても「アンパンマンだー!」って喜んでいます。そういうのを見ていると、人類の遺伝子レベルでアンパンマンは好かれているんだと思いがちなのですが、案外アメリカでは受け入れられていないんですよね。

ネットで調べると「顔を食べさせるのが怖い」とか、「win-winじゃなくて自己犠牲だから善意を受け取りにくい」とか、いろいろ理由があるみたいです。確かに、よく考えたら「ぼくの顔をお食べ」ってホラーっぽいですね。「いや…そこまでしなくても…。懐からスッとアンパン出してくれる方が、罪悪感なく受け取れるんですけど…」とアメリカのキッズに思われるんですかね…。

私はアンパンマンの顔ちぎり芸、けっこう好きなんですけどね。というのも、作者のやなせさんが「アンパンマンvsアンパンマン」という本の中で語っていた理由がすごくいいなと思ったんです。

やなせさんは戦争を経験し、ひどい飢えと戦ってきた人です。その中で「正義は簡単に逆転するんだなぁ」「人間は食べなくては生きられないんだなぁ」と強く思ったそうです。だからこそ、逆転しない絶対的な正義は「ひもじい人を食べさせること」だけだ!と感じ、アンパンマンが誕生したのだと語ります。やなせさんの時代には物がありませんでした。「正義を実行する人は、代償として自分も深く傷つくものだ」。だからアンパンマンは顔をちぎるのです。深いですね~。

アンパンマンといえば、先日の能登地震のとき、山崎製パンさんがあまりに迅速に「パンの義援物資」を届けたため、リアルあんぱんまんだ!と話題になりました。地震の翌日には万単位でパンが届いて、トータルでは8万個も届けたらしいです。

山崎製パンさんは、自社で配送を持っていて、過去の大災害でも常にパンを届けてきた実績があるので、いつも一番乗りでパンを届けるんですって。アンパンマンシップに溢れる精神は、見ていて「こうありたいな~」と思わされます。パンを届けるだけでなく、速さにもこだわっている。アンパンマンの顔を投げる役のバタコさんがピッチング練習をしているようなものです。影の努力がすごいです。

いつかアンパンマンも世界に飛び立ってほしいなと思います。

参考文献)

なぜ「ヤマザキパン」はいち早く支援物資を届けられるのか 背景にあった「3代目はクリスチャン」社長の“哲学”(デイリー新潮) - Yahoo!ニュース
「ヤマザキパン」の迅速な対応に各方面から称賛の声が上がっている。大きな災害が起こるたび、山崎製パンのトラックが被災地に“一番乗り”する光景は珍しくないが、それを可能にした同社の“DNA”の秘密に迫っ
被災地に「リアルアンパンマン」 パン20万個を即時供給、業界団体に感謝の声(産経新聞) - Yahoo!ニュース
元日に発生した能登半島地震で被災者への食料品などの供給が課題となる中、大手パン業者で構成する一般社団法人「日本パン工業会」の取り組みが注目されている。国の要請を受け、地震発生翌日からパンを被災地に輸

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