「多様性」というワードを聞くたびに、東京で出会った「みどりの男」を思い出してしまいます。

コラムの第63回。

多様性が見つめ直される世の中。何ごとも受け容れる「やさしい心」を持っていたいものです。

みどりの男

東京に住んでいたとき。ちょっとコンビニいこうと思って、道を歩いていると、目の前を40歳くらいのオジさんが横切りました。髪は七三分け。黒縁メガネをかけた、いたって普通のオジさんです。しかし、首から下がヤバかった。

まずシャツがアマガエルみたいな緑色。ストライプも入っていますが、それも濃い緑の線。さらに、ズボンをみると、こちらは蛍光の緑。足元は緑のサンダル。手にはペットボトルを持っています。ラベルを見ると「お~いお茶」。うわっ!緑茶や!そのオジさんは、全身みどりの男だったんです。

「変な人やなぁ~」と思いました。気になって、オジさんの後をついて歩くと、細い交差点に差し掛かり、そのオジさんは赤信号のところで、ピタっと止まりました。

まわりを見渡しても、明らかに車はいません。普通なら、あまり褒められたことではありませんが、「車おらんしええやろ」と、サーッと渡ってしまうものですが、そのオジさんは、しっかり赤信号で待っていました。

「こんなにアウトローな恰好なのに、交通ルールは守るんだ…」

なんだか急にいい人に見えてきました。さっきは「変な人やな~」とか決めつけちゃって、すみません。見た目で人格を否定するなんて、私は器の小さい男です。「目に優しくていいよね~」くらい思える寛容さがほしいなと思いました。

そのオジさんは、信号が「緑」に変わると、サッと歩き去っていきました。ただ単に、緑が好きだっただけかもしれません。

しりとり事件

多様性というと、保育園のときの「しりとり事件」も思い出されます。

私には、S太くんという友達がいました。保育園のみんなと「しりとり」をしていると、S太くんに「ちくわ」でバトンが回ってきました。保育園児にとって「わ」から始まる言葉はレベルが高い。何を出してくるんだろう?と思っていると、S太くんは、とびきり元気な声で、自信満々に言いました。

「わんこ!」

すると、みんながザワザワし始めました。「えっ、わんこは無いよね」「普通いぬだよね」「さすがにわんこはね…」「そろそろキツイよね…」。私も周りの雰囲気に流され、「年長さんで幼児語使うのはキツイよね~」と、わんこ反対派に一票を投じてしまいました。

結局、先生のジャッジにより、S太くんの「わんこ」はセーフ扱いになったのですが、みんなから責められたS太くんが可哀そうで、私はとっても変な気持ちになりました。

大きくなって、あの感情は「居たたまれない」だったのだと知りました。どうして、あのとき「わんこ、いいと思うよ」と言ってあげられなかったのだろう。今でも反省しています。

うん、いいんじゃない

また、多様性といえば、NHK「おかあさんといっしょ」のヒット曲に「うん、いいんじゃない」というものがあります。これがすごくいい歌詞なんです。

簡単に説明すると、「朝おきられない目覚まし時計」「一人になりたいイクラ」「押しに弱い押しボタン」みたいな自己矛盾を抱えたキャラが登場して、会議をするというストーリーです。

会議の結果、「いろんな人がいるけど、それでいいんじゃない」という優しい結論を出します。初めて聞いたとき「なんて粋な歌なんだ!」と思いました。

世の中をみわたすと、どうしようもない自己矛盾を抱えることって結構ありますよね。ぽっちゃり系のお医者様。一人で食べるパピコ。意外と筆を選ぶ弘法大師。音痴だけど趣味はカラオケ。キンチョールにとまった蝿。歯磨きした後に食べるケーキ。

そんな矛盾を「うん、いいんじゃない」とやさしく受け入れる心。持ちたいものですねー。

ダメなところを面白がれる心の余裕

結局のところ、多様性を受け入れる優しい心とは、「他人のダメなところを面白がれる心の余裕」と言い換えられるのではないでしょうか。

ダメなところって面白いものです。たとえば、ホリエモンさんのR-1ネタ「将来の夢」は、自分の失敗をネタにしていて、めちゃくちゃウケています。

※のび太の恰好をしたホリエモンが小学生のテイで作文を読むネタを一部抜粋

将来の夢
「ぼくの夢は、すごい人になることです」
「ぼくには、なりたいものが二つあります」

「ひとつ目は、プロ野球選手になることです」
「でも、それが無理だったら、球団を買収したいです」
「バッファローズくらいなら行けるんじゃないかなぁ」

「もうひとつの夢は、芸能人になって、いっぱいテレビに出て、人気者になりたいです」
「でも、それが無理だったら、テレビ局を買収したいです」

「そのために、これからいーっぱい頑張って、刑務所に入らないような大人になりたいと思います」

ホリエモンさん、R-1ネタ

ホリエモンさんの球団買収騒動と、インサイダーで刑務所に入ったことが、うまくネタになっています。私は爆笑しました。ちなみに、このネタはホリエモンさんの飲み友達であるエハラマサヒロさんが作ったそうですね。

自分のダメなところを自虐で面白くできるのって、すごいことです。さらに、他人のダメなところ(自分の価値観に合わないところ)まで面白くできたら、最強だよな~と思いました。

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