腎臓移植という逆境を乗り越えた5GAPさんは、アスファルトに咲く花芸人である

コラムの第64回。

しんどいとき、頭の中で勝手にBGMが流れることって、ありませんか? 私の場合は、岡本真夜さんのTOMORROWが流れます。

涙の数だけ強くなれるよ。アスファルトに咲く花のように。

中学のバスケ部の練習中、シャトルランが始まると、このメロディーが脳内でリピート再生されていました。体育館だからアスファルトないのに。しかも、一度もフルで聞いたことがないんですよ。だから途中で歌詞が分からなくなって、フフフフ~♪になるんですよね(笑)脳内でも鼻歌ってあるんやと思いました。

うろ覚えでも頭に流れてくるってことは、それだけ「元気がでる曲だなぁ」と思っていた証拠です。月並みですが、「道端の小さな花でも、アスファルトを突き破って、頑張って生きているんだ。自分も弱音吐いてちゃいけないな」と励まされました。懐かしいなぁ。

この「アスファルトに咲く花」というフレーズは、実に良くできた比喩だと思います。世の中にはいろんな人がいます。まさにアスファルトの花のように、逆境に負けず生きている人も、たくさんいます。そういう健気に明るく生きようとする人の芯に触れると、人間って美しいな~と、心が洗われます。

さて今日は、あたらしくアスファルトに咲いている花を、Youtubeで見つけたという話です。

子どもが寝た後、「今日も疲れたな~。笑って癒されたいな〜」と思って、大好きな千原ジュニアさんをYouTubeで検索してたんですね。そしたら、お笑い芸人の5GAPさんとジュニアさんが対談している動画が出てきました。

見てみると、お笑いの枠を借りたドキュメンタリーで。まあ話が奥深い。息を止めて見入ってしまうものでした。笑おうと思って観たはずなのに、感動で泣きそうになってしまいました。

たった30分の動画で、一気に5GAPさんが大好きになりました。この暖かい気持ちを忘れたくないので、ブログに書いておこうと思います。ネタバレを含みますので、ここから先は動画を見てから読まれることをお勧めします。

千原ジュニアさんYoutubeチャンネルより引用。ジュニア×喋れるコント師5GAP 波乱万丈人生劇場
5GAPさんとは?

5GAPさんを簡単に紹介すると、吉本興業に所属する芸人さんです。ヒゲの方が、ボケのクボケンさん。ハゲの方が、ツッコミのトモさん。結成23年のベテランで、昭和な香りのするドタバタコントを得意としています。

特にクボケンさんの芸風は、ペナルティのワッキーさんや、FUJIWARAの原西さんに近いですね。

安心感のあるベタなコントボケなんですけど、瞬発力がすごい。漫才より早いテンポでボケを連射できるので勢いに圧倒されます。めちゃくちゃ面白いですし、昭和な感じを貫いてるのが逆にカッコイイんです。

見た目でいうと、どっちもオジサンなのですが、若い頃はイケメンで売っていたとか。たとえば、こんな話があります。

ハゲのトモさんは、ウィッグを被っていた時期があり、本当にヅラと分からないくらい、よく似合うものでした。

毛先を遊ばせたオシャレなウィッグだったそうです。それを着けてコンパに行った。すると、トモさんを見た女の子が「めちゃくちゃカッコイイ!」となって、モテモテのままカラオケに行くことに。

トモさんはマイクを片手に歌います。選んだのはブルーハーツ。「リンダリンダー!」とサビを熱唱しました。すると、頭を振った拍子に、ウィッグがバサッ。落ちてしまったんです。

目の前に突如現れるハゲ。さっきまで「カッコイイ!」と言っていた女の子は、あんまりにも驚き過ぎて、その拍子に、なんとアゴが外れてしまったそうです。イケメンが急にドブネズミになったと(笑)

その場は笑い事じゃなかったそうですが、後から聞くとおもしろいですね。

腎臓移植の話

そんな5GAPさんですが、壮絶な人生を送ってこられたそうで、特にクボケンさんの手術の話は、涙なくしては聞けませんでした。

クボケンさんは、21歳のときに、とんでもない激痛の痛風になったそうです。そのときは痛風だと思わなくて「骨が折れた!」と思って病院へ。先生から「痛風です」と言われます。

「うちの病院には、いろんなおじいちゃんおばあちゃんいますけど、その中でも上位に入るくらい腎臓が良くないです」そのくらい重症だったそうです。

クボケンさんは「なんじゃそりゃ~。でも、まあ大丈夫だろ~」と思って、芸人の仕事を続けました。足は痛いけれど、上半身だけでウワァーっと動いてボケ続けていました。その様子に、お客さんも舞台袖の芸人さんも、クボケンさんの痛風にはまったく気づかなかったとか。でも、楽屋から舞台袖まで行けないくらい痛い。

数年経ち、もうこれはイカンと、病院に行ったクボケンさん。医者に「腎臓の機能がほとんどないです」と言われます。

「透析だと芸人の仕事は続けられないでしょう。どうしますか」と医者にきかれ、「逆にどういう選択肢があるんですか」と尋ね返しました。「若い方に一般的なのは移植ですね」それで、腎臓移植をすることになりました。

それまでクボケンさんは、なるべく一人で治そうと思っていたそうですが、腎臓はお父さんかお母さんからもらわないといけません。自分一人の問題ではない。両親はすでに高齢です。いつ移植できなるかも分からない。

ダメ押しで、医者に言われたのが「もらえるうちに、お父さんお母さんからもらわないとダメですよ」という言葉。「あぁ、もうこれは親に言わなきゃだめだな」観念して、お母さんに電話をしました。こんな風に切り出したそうです。

「実は、こういう事情で、移植手術をすることになって…。お父さんか、お母さんのどちらかから、腎臓を1個分けてもらう手術をする事になったんだけど、いいかな?」

クボケンさんは心の中で思いました。親の反対を押し切って東京に出て芸人になったんだから、「東京に行って無茶な生活して何やってんの」くらい言われるかなぁと。

私、ドキドキしながらクボケンさんの話に聞き入っていました。

こんなとき、親ってどんな気持ちなんだろう。自分の親だったら何ていうだろう。自分が親だったら、子どもになんて声かけるだろう。頭の中がグルグル~ってしました。いろいろ予想しましたが、クボケンさんのお母さんの言った言葉が、すごく感動するものでした。

「ちゃんと産んであげられなくてごめんね…」

クボケンさんは号泣したそうです。こんなん、私も号泣です。結局、腎臓の検査をして、より機能が残っているお父さんの腎臓を1つもらったらしいですね。臓器を渡す親の愛って、どれだけ深いものなのでしょう。

…。…。

この話が終わったとき。スタジオは、しんみりした空気に。そりゃそうです。すると、クボケンさんが「お笑い芸人が3人いて、この空気。そんなんやられたら、さすがに帰りますわー。帰りまーす。失礼しまーす」からの、ピューゥ。プゥーイ。という笛のギャグで「ただいま!」とボケました。

「回復してコレできるようになったんです。笑ってあげてください」トモさんがフォローして、笑える空気に。ほんまに、プロやなぁ。すごいなぁと思いました。

でも、こんなしんみりするイイ話きいてしまったら、今後5GAPさんで笑えそうにありません(笑)

最初の話に戻りますけど、まさに「アスファルトに咲く花のように~」な人なんですよね、5GAPさんって。壮絶な病気を乗り越えて、明るく楽しい気持ちにしてくれる。心から尊敬します。

お笑い芸人さんって、おもしろさとか、センスとかも大事だと思いますけど、結局は人間力というか、応援したくなる部分が大切なんだなぁと思いましたね。

真面目なこと書いちゃいました。

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