「えっ?そんなもの集めてるんですか?」びっくりしたマニアの話

コラムの第69回。

「はぁ~い、みんな~。家の中、どうやってお掃除してるぅ? 聞かせてちょうだい。アイアム片付けフリーク」

アメリカの大学いたときのこと。研究に疲れて、ちょっと休憩をしようと居室に戻ったら、学生のマーサ(仮名)がいて、「はぁ~い、みんな~」と、冒頭の話を始めました。

マーサは20歳で金髪の女の子。くっきり二重の、ザ・欧米人みたいな顔をしています。その大きな目をパチッとひらき、小首をかしげつつ、両手を広げて「はぁ~い、みんな~」なんて言うものですから、まるでアメリカのコメディドラマを見ているようでした。

フルハウスのD.J.やん。

子供のころに見ていたドラマ「フルハウス」の長女D.J.を思い出しました。もうそっくりでした。アメリカ人って、日常がフルハウスなんや~。衝撃を受けました。家に帰ったら、イケメンバンドマンの叔父さんとか、コメディアンを目指している父の友人が同居していたりするのかな。

もう一つ衝撃を受けたのが「アイアム片付けフリーク」というフレーズです。失礼な話、私は勝手なイメージで「アメリカ人の部屋は汚い」と思っていたのですが、マーサに聞くと、毎日お掃除しないと生きていけないくらい、片付けが大好きな人もいるそうです。

かくいう私も片付けマニア。はい!はい!私は家の中もの徹底的に捨ててます!ミニマリストです!と、マーサ(D.J.)たちの会話に参加したかったのですが、英語が下手で、うまく混ざれませんでした。自分の語学力のなさが悔まれます。

うちの家族はマニアック

さて、片付けに限らず、世の中にはいろんなマニアがいます。

身近なところで言うと、うちの父は電車マニアです。いわゆる乗り鉄。家のトイレの本棚には「鉄道旅行のたのしみ」「私の途中下車人生」「新廃線紀行」「いきどまり鉄道の旅」など、鉄道関連の本が並びます。

たぶん、父がこれまで読んできた鉄道の本を数えると、軽く数百冊は超えるのではないでしょうか。どうして鉄道がそんなに好きなのか。狂気を感じます。

家族で長野県に旅行したときなどは、ある駅でひとりフラッと父が消えたことがありました。私と兄と母が温泉に入って待っていると、数時間後、父が帰ってきて、ひと言。

「終点まで行ってきた」

聞くと、駅でフラッと消えたあとは、電車にのって、終点まで車窓を眺め、終点に着いたら駅を観察し、とくに周りを観光をするでもなく、またすぐに折り返しの電車にのり、同じ景色を眺め、帰ってきたというのです。どんだけ好きやねん(笑)

私なら絶対に温泉の方が楽しいのに。マニアの人は路線図を征服する楽しみが勝つみたいです。ちょっと分からんわ~。

また、うちの母は工作マニアです。

先日も、普通の母親が言わないであろう「ラジオペンチ持ってない?」という言葉を放っていました。私が持っていた電子工作のものを渡すと、「やったー!」と大喜び。

そのラジペンで針金をせっせと曲げ、ひねり、龍の形にして遊んでいました。「辰年になったから、針金で龍作ったろ」という発想が母だなぁと思います。

他にも、和室の障子にイラストをプリントして、お城の風景画にしてみたり。毎月、壁面掲示を作って、要らなくなったら近所の幼稚園に寄付したり。コロナのときには、マスクを手作りしたり。

こんな風に60年以上もずっと工作をしていると言うから驚きです。ワクワクさん以上にワクワクしています。そんな母の口癖は

「その箱、工作に使えそう!捨てんといて!」

ミニマリストな私とは相性が悪い(笑)要らねぇ~。捨てたい~。

父と母のマニアな趣味は、理解できないところも多いですが、しかし、これだけ熱中できるものがあるって、素敵なことだなぁとも思います。生きがい感がすごいです。

「何かの役に立てたい」というより「好きだからやっている」。というか、それをしていないと落ち着かない。そんな感じです。マニアやなぁ~と思います。

面白くない話は面白い?

最近びっくりしたのは、「面白くない話」を集めるマニアがいるということ。

たとえば、こんな話を集めているそうです。

「スーパーにいる、これから宅飲みするであろう大学生の男女グループとかでよくあるんですけど……。カートを押してる女の子の横で、男の子が商品をいじってボケ始めるんです。『濃厚』って書かれた牛乳を持って、『やっぱり濃厚にはこだわっていきたいよね、俺くらいになると濃厚じゃないとね』とか語り出す、ああいうのなんです……」

つまり、「面白い話しますよ!」という雰囲気を出しているにも関わらず、つまらないことを言ってしまい、サムい状況になっている(そして本人に自覚がない)。そんなエピソードを集めているんですね。

そんなん集めてどうすんの、と思いますけど、マニアの伊藤さんは、こうした「面白くない話」を収集しながら、なぜ面白くないのかを分析し、さらに、どうやったら本人に「面白くないよ」とさりげなく分からせることができるのか、その対策を研究しているそうです。

すごい研究ですね。普段はこんな感じでしょうか。

あっ、あの人、面白くない話しそうだ。頼むっ!面白くないこと言ってくれ…。よしっ、いいぞ。ちゃんと面白くなさそうだ。オチはどうだ…?オトすなよ…。オトすなよ…。よっしゃー! やっぱり面白くなかったー!今の話は30点…と。まぁまぁやな。

ちょっと楽しそうかも(笑)

面白くない話、私も集めてみたくなりました。「はいっ。今、あの方から、面白くない話をいただきました。こんなん、なんぼあってもいいですからね」みたいなの言ってみたいです。

ではさっそく、面白くない話を一つ。

高校生のとき、倫理の授業がありました。その日のテーマは「万物の根源(アルケー)」とは何か。授業を担当していたN先生は、茂木健一郎さんを一回り小さくしたようなモジャモジャ頭が特徴的な、50歳くらいのオジサンでした。アルケーとは何か。アルケーとは水だ。いや火だ。原子だ。

古代ギリシャの哲学者たちの説を紹介していく中、N先生が突然、いかにも「ボケますよ」といった様相で、こんなことを言いました。

「万物の根源とか言ってますけどね、そんなもんアルケー!(あるかー)」

誰も笑いませんでした。いえ、笑わないどころか、巻き込まれると怪我をする空気がただよい、鼻息をひとつするのですら遠慮するくらい、みんなが存在感を消していました。私の人生の中で、最も先生がすべった瞬間でした。

いや~、面白くなかったです(笑)

でも、倫理のN先生のことは尊敬していて、あれだけ盛大にスベれるって相当な勇気ですし、そのおかげで、アルケーが深く記憶に刻まれたので、テストで役に立ちました。

スベるは恥だが役に立つ。スベ恥です。

参考文献)

withnews 連載 #14 教えて!マニアさん 「面白くない話」集めるマニア 「笑わせよう」が空振りする瞬間https://withnews.jp/article/f0200206000qq000000000000000W06910201qq000020465A

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