「靭帯切りました」と言うと、いろんな人の怪我エピソードが聞けて面白い

コラムの第70回。

松葉杖をついて生活しています。

杖をつきながら「前十字靭帯を切っちゃったんです」と言うと、たいていの人が「え~!大変だったね!」と心配してくれるのですが、その後、高確率で「僕も靭帯やったことあるんだよ」のように、ご自身の怪我エピソードを紹介してくれることに気が付きました。

あまり話をしたことがなかった人でも、同じ怪我をしたと分かるだけで、グッと仲間意識が芽生えます。靭帯は切れましたが、その代わり、友人の繋がりが太くなりました。これぞ怪我の功名。

しかし、たまに相手の怪我エピソードが強すぎて、私の怪我の印象が薄まってしまうことがあります。

人は見た目によらない

仕事でお世話になっているKさんは、私より少し年上の、クールで華奢な女性です。このたび、靭帯の手術で3週間ほど入院することになったので、ご迷惑をおかけします、とKさんにお詫びをしました。

すると、Kさんは、「え~!仕事は全然いいですけど、それより大丈夫ですか!?」と心配してくれました。いい人。その後、手術の期間や怪我した状況などについて話していると、Kさんがこんなことを言いました。

「私、ひき逃げされたことがあるんですよ」

えっ!なにそのエピソード!めっちゃ気になります。

聞くと、Kさんは学生のころ、北海道に住んでいたそうです。ある日の夜、自転車に乗って”すすきの”の街をピューっと走っていたKさん。横断歩道を渡ろうとすると、車が来ているのが見えました。

「車来てるな。でも、こっち自転車やし」

止まってくれるだろう。そう思って、渡ろうとすると、車が構わず突っ込んできました。

バァーン!

自転車ごと吹っ飛ばされるKさん。道路の上に投げ出されました。

そしたら、なんと、車が走りだし、Kさんの足の上を、タイヤが「ゴリッ!」っと乗り上げて、そのまま走り去っていこうとしました。”すすきの”の車だったので、お酒を飲んでたり、やましいことがあったのかもしれません。

相手のドライバーも凄いですが、Kさんも凄い。許せない!と思ったんでしょうね。轢かれた直後に、パッと立ち上がって、まてゴラァ!とばかりに、車を追いかけていったそうです(笑)でも、途中で

「あ、だめだ。足が痛い」

と気付き、車には追い付けず、そのまま救急搬送されました。

搬送先の病院で、レントゲンやら色々と検査をすることに。結果は「軽傷」。タイヤで踏みつけられたにも関わらず、骨にはヒビひとつなく、靭帯が少し傷んでいただけだったとか。病院の人もビックリ。手術もしなかったそうです。

華奢なKさんの、あまりにも骨太なエピソード。

「私のは靭帯といっても些細な怪我でしたけど、ヒデオさんは手術で入院もされるそうで、大変ですね(汗」

と言われましたが、いやいや、怪我の程度はそうかもしれませんが、私のしょぼいバスケとひき逃げを比べないでください。Kさんの方が心配になりますよ(笑)

私の怪我、かすんだわ~。

なんでそうなんねん

「靭帯切っちゃたんです」で言うと、別の話もあります。「なんでそうなんねん」と思った話です。

怪我をして以来、整形外科に週2回ほど通って、リハビリを受けています。ひざ周りの筋肉が固まると手術が難しくなるとのことで、ほぐしてもらっているんです。

で、そのリハビリのマッサージ師さんの話なんですけど、毎回固定の人ではなく、そのときに空いているマッサージ師さんが担当してくれるんですね。

その日は、40歳くらいの女性のマッサージ師さんに当たりました。

「どうやって怪我されたんですか?」

黙って施術する方もいらっしゃいますが、その女性の方は、けっこう話しかけてくれるタイプでした。助かります。聞いてくれたので

「バスケでターンしたら、グニッちゃいました」

と答えました。「バスケですかぁ~」軽く頷くマッサージ師さん。少し沈黙に。あれっ。私が話振った方がいいのかな。

「スポーツとかされるんですか?」

と聞いてみました。「いや~、してないですね~」えっ。こういう仕事の人って、健康意識が高いというか、みんなスポーツしているイメージがあったので、意外です。

「意外ですね」

しまった。おもわず口に出ちゃいました。すると、マッサージ師さんが、すごく言いにくそうに、ゆっくりと、こう言いました。

「実は…、昔はジムに通っていたんです」

ジムというのは、パーソナルのフィットネスジムだそうです。コロナ禍になり、あまり人が密なのはどうかと思って、パーソナルならいいだろうと、通い始めたとのこと。そこでピラティスをやっていたのですが…。

「普通、ピラティスって姿勢をキレイにしたりするじゃないですか。…でも私、ピラティス中に腰を痛めちゃって」

なんでそうなんねん(笑)

自分でも「なんでピラティスで腰やんねん」と思ったのだとか。整形外科のマッサージ師がピラティスで腰痛めたって、恥ずかしすぎます。それで話しにくそうにしてたんですね。

「腰のこと、先生には言ったんですか?」
「いやいやっ!言えませんってば!」

秘密にしてるみたいです。

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