【ガオー右折】思いがけず見てしまった他人の恥部

コラムの第75回。

人間、いつどこで、誰に見られているか分かりませんね。

今朝、車で信号待ちをしていたら、前から白い車がグーンと右折してきたんですけど、そのドライバーの女性の顔に目がいった瞬間、うぉっ、と思いました。

「ガオーッ!」

ってライオンみたいに大きな口を開けていたんですよ。たぶん、あくびをしていたんでしょうね。

綺麗な顔立ちをしていそうな30歳くらいの女性が、普段決して他人に見せない「ガオー顔」で、急にコーナリングして現れたので、凄い衝撃でした。

誰にも見られていないだろう、そんな油断しきったガオーでしたが、私はバッチリ目撃しています。見てはいけないものを見てしまった、という高揚感で耳が熱くなりました。

ガオーさんと、目は合いませんでした。

なので、私がガオーを見たことは彼女に悟られていないと思います。でも万が一気付かれていて、恥ずかしい思いをさせてしまっていたなら、悪いことをしちゃったかも。

こんなふうに、思いがけず、他人の恥ずかしい部分を目にしてしまうことってあります。この現象を「ガオー右折」と名づけたいと思います。

見られまい、という慢心が、見られたときの恥ずかしさを加速させるものです。

飛行機でのガオー右折

ガオー右折の中で、一番びっくりした体験は空の上でした。

成田からアメリカに行く便に乗っていたときのこと。約13時間のフライトで、途中5、6時間くらいは電気が真っ暗になって、みんな寝る、という時間帯がありました。

私も1時間ほど寝ていたのですが、用を足したくなり、目が醒めました。

寝ぼけながら、揺れる機内の、暗くて細い通路を、せかせかと歩きます。尿意が迫ってくる。早くしないと。

トイレに到着。

飛行機のトイレにはめずらしく、誰も並んでいません。ラッキーと思い、ガラッとトビラを開けました。すると、中にいた別のお客さんと目が合いました。

えっ、という顔をしたお客さん。

下半身を露出し、便座に座ろうとしています。

こういうとき、人って固まってしまうんですね。私も、まさか中に人がいると思わず(カギが掛かっていなかったし)、えっ、という細い声がかろうじて出たものの、数秒間、身動きがとれませんでした。

「すっ、すみませんでした!」

ようやく我に返った私は、急いで謝りながらトイレから退散し、ドアを閉めました。すぐにカチャ、という音がして、ドアのマークが緑から赤に代わりました。鍵が掛かったんです。

どうしよう。

私の頭の中には「のぞき」という三文字がグルグル回っていました。不可抗力とはいえ、目撃してしまったからには私が加害者。とにかく謝らなきゃ、と思ってドアの前で待ちました。

そんなことはありえないのですが、もしかして逮捕されるか?という不安もありました。

お客さんの、えっ、という表情が脳に焼き付いてしまい、もう目はバッチリ覚めています。

3分。5分。・・・。

いくら待ってもドアは開かれませんでした。見られてしまった…と、トイレの中で頭を抱えられていたのかもしれません。

結局、私は自分の尿意が限界になり、別のトイレへダッシュ。戻ってきたころには、先ほどのトイレは空になっており、あのお客さんの姿はありませんでした。

助かった、と思ってしまいました。

それから着陸までの10時間弱は、悶々としたものでした。見てはいけないものを見てしまったドキドキ。誰か知らない人からものすごく怒られるのではないかという恐怖感。あのお客さんに見つかるのではないかというハラハラ。

「この中にトイレをのぞいたお客様はいらっしゃいますでしょうか!」

というアナウンスが流れるのではないか、という妄想まで。あんなにスリルあるフライトは初めてです。

結局その後は何もなく、まあ下半身を見られた私にもう一度会っても気まずいだけだろうと、冷静になってみれば思うのですが、とにかく衝撃でした。

みなさん、トイレの鍵はしっかり確認した方がいいですよ。

散歩中のガオー右折

逆に、ささいなガオー右折というのもあります。

そこは東京の端の、閑静な住宅地でした。昼間、ほとんど人通りもない中、私が歩いていると、前に50代くらいの夫婦とおぼしき二人がいて、同じように歩いていました。

ふたりは蛍光色のウエアを着て、肘をグングン振りながら歩いていました。ウォーキングです。何か話しをしながら、健康的に歩いています。その後ろを10メートルくらい離れて、私がついてくような恰好になりました。

すると、旦那さんの方から、ものすごい音量の「ブッ!!」という破裂音がしました。

放屁したのです。

すかさず奥さんが「さいあくぅ~」とツッコみます。ここだけ切り取れば、ほほえましい熟年夫婦のやりとりです。しかし、後ろには私がいます。

夫婦は私に気付いていないようでした。

気づかれていないからこその大放屁。奥さんのさいあく~というツッコミまでがセットになって、ものすごくプライベートなモノを目撃しました。

そのときの私は、ふと、ここでスピードをあげて二人を追い抜き、振り返ってバッと顔を見たらどうなるだろう、という気持ちが湧きました。

「さっきの見られていたのか!?」という恥ずかしさが込み上げるであろう夫婦。社会勉強の一環として、プライベート放屁を気付かれた人間の表情をぜひ観察おきたい。そう思いました。

しかし、いざ計画を実行に移そうとすると、急に私まで恥ずかしくなりました。私の存在をアピールするどころか、むしろ気配を消して、逃げるように二人から距離をとってしまいました。

放屁した側でなく、放屁された側の方が恥ずかしくなっている。
へんなの(笑)

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