究極のどんぶり~

コラムの第78回。

このあいだ、家でご飯を食べてたんですよ。そしたら、65歳の父が「究極のどんぶり~」と言って、ご飯に「あるもの」をジャーってかけてたんです。

きっと孫を楽しませようとしたんでしょうね。父はたまにチョケるところがありますから。

さて、何をかけたかは最後に発表したいと思いますが、その光景をみたときに、あっ!と思いました。

というのも、父の究極のどんぶり〜がトリガーとなって、頭の中に、20年間前の記憶が、バーッと映像となって流れたんです。うわ!なつかしい!と思いました。

それは小学6年生の修学旅行のときの記憶でした。

私たちの学年は、まあ定番ですけど、京都を中心に近畿地方をグルっと回る、という修学旅行をしました。初めていく関西エリアだったので、ベタだけど、めちゃくちゃ楽しかったです。

金閣寺なんて、予想の100倍金ピカでしたし。

東大寺は、大仏鼻の孔と同じ大きさの穴をくぐるアトラクションでしたし。

琵琶湖のほとりでプラネタリウムをみるという洒落たこともしました。

ほんと、小学生には贅沢な旅だったと思います。でも、そんな名所が霞むくらい、当時衝撃を受けたことがあって。それは晩御飯に起きた事件でした。

琵琶湖のホテルに泊まった日の、晩御飯のときだったと思います。そのホテルには、体育館くらい大きなディナーホールがあったんですね。

そこに一学年150人以上が、ズラーっと並んで、ご飯を食べてたんですよ。

そしたら、「だめなんだー!わるいんだー!」って騒ぎだした子たちがいて。

なんだ?なんだ?と思うじゃないですか?

見にいくと、10人くらいが「変な食べ方ー!」みたいなことを言って、誰かを責めてるんです。

誰が責められてるんだ? なにがそんなに変なんだ? 気になって。私、地味なタイプなのに、そのときばかりは野次馬根性が騒いで、人ごみの中に割り込んでいって、見に行ったんですよ。

責められていたのは、Kくんでした。
お寺の子で、素朴で、勉強ができるKくん。
クラスの中でも「常識人」に分類されるKくん。

そんなKくんが「変なんだー!」「だめなんだー!」とからかわれているから、ビックリしました。でも、見てみると、確かに変。なんと、

ご飯に麦茶をかけて、シャボシャボッっと、すすっていたんです。

なにそれ!

行儀悪っ!

今考えたら、お寺の子だったので、お家では麦茶のお茶漬けが当たり前だったのだと思います。

でも、私に中では、お茶漬けは永谷園の粉にお湯をかけるものだ、という思い込みがあり。たぶん周りの子もそう思っていて。麦茶のお茶漬けが、恐ろしく不気味に見えました。ねこまんま以上に行儀悪く感じたんです。

そんでまた、Kくんが、うまそうに食べるんですよ。それがより不気味な感じ。みんなに責められているのに「これがうまいのよ」なんて、のほほんと言いながら食べている。

お寺の精神力すごいなと思いました。

そんなKくんを見てたら、なんだか麦茶のお茶漬けが、ものすごく美味いものに見えてきました。あれだけ非難されてもやめないって、どれだけ美味しいんだろうと思って。

私はこっそり自分の席に戻りました。ご飯はまだ少し残っています。

「これに麦茶かけたら、どんな味がするんやろう」

もう気になってしかたがなくなっています。しかし、ここで麦茶をかけたら、今度は私が責められてしまう。第二のKくんになってしまいます。

麦茶かけたい!かけたい!

堪りません。なんとか我慢して、なんの味気もない普通のご飯を口に入れました。そして寝て。次の日、名所を回るんですけど、頭の中は麦茶漬けでいっぱいです。もう旅行どころじゃないんですよ。

僕はお茶漬けが食べたいんだ!

早く家に帰ってお茶漬けが食べたい!

せっかくの観光が台無しです(笑)で、家に帰って麦茶かけたら、たいして美味しくないという。とんだ茶番だったなあ、という話でした。

あ、ちなみに冒頭で父がご飯にかけたのが麦茶でした。それを見たうちの息子が、うらやましそ~にしてたので、あっ、これはあのときの私と一緒だ!と思って、思い出したんですね。

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