あなたの必殺技は何ですか?

髪を切りに行くとき、どの美容師さんにも必ず「あなたの必殺技は何ですか?」と質問することにしています。

たいていの人は、必殺技を意識して生活していないので、急に必殺技を聞かれると戸惑います。

「必殺技って、どういうことですか?」
「たとえば、テレビとかに出てくるカリスマ美容師が、シャシャシャーって高速で髪を梳いたりするじゃないですか」
「あー、そういう技は持ってないですね」

こういう会話になります。

ですが、ここからもう少し会話を広げてみると面白いのです。「髪を赤くするのが得意だったりしませんか?」「襟足のパーマが異常に得意とか、ないですか?」こんなふうに質問を重ねていくと、その美容師さんが熱を持っている部分が見えてきます。

高校生のときにお世話になった美容師さんは、男性の方だったのですが、「僕、女性の着付けが得意なんですよ」と教えてくれました。

そのときは知らなかったのですが、女性は結婚式に参加するとき、朝早く起きて、美容師さんに髪をセットしてもらうのだそうですね。ご年配の方だと、着付けも一緒にされるそうで、その美容師さんは着付けのスペシャリストだったのです。

詳しく聞いてみると、なんとその方は月に1度、大阪に出張して、全国誌(名前を言ってしまうと身バレするので伏せますが、超有名雑誌です)の表紙に登場する女性たちの着付けやヘアーセットをする、凄腕美容師だったのです。

なんでこんな田舎にそんなすごい人が?と思ったものです。とにかく、必殺技の話題をきっかけに、いい情報を手に入れた私は、「スーパーカリスマ美容師を紹介するよ!」と吹聴し、釣れた友人をその美容師さんのところに連れていったのでした。紹介特典の無料カット券をもらって、1年間タダで髪を切れたのはいい思い出です。

それ以来「あなたの必殺技は何ですか?」という、戦隊ヒーローの面接以外では訊かれないフレーズを多用しています。会話が弾むのでお薦めです。

美容室じゃなくても使えます。

先日、膝のリハビリに行ったときには、理学療法士さんに「あなたの必殺技は何ですか?」と聞いてみました。

理学療法士さんは、まじめに考えてくれました。そして、うーん、必殺技ねえ〜、と唸ってから「自分はできないですけど、利き膝みたいなことができたらいいですよね」と言ったのです。

利き膝?

耳慣れないワードが出てきました。どういうことですか、と聞いてみると、けっこう深い話でした。

その理学療法士さんによると、膝が痛む原因は一つではなく、太ももの柔軟性だったり、背中の筋肉との連携だったり、足首だったりするそうです。

つまり、ひとりひとり異なる原因があるということ。その中で、理学療法士さんは「これが原因かな?」という見立てをして、推定原因をマッサージでほぐし、その後に「まだ痛いですか?」と反応を見ることで、試行錯誤しているんですって。すごいですね。

理学療法士さんからすると、膝のマッサージとは、利き酒のように、数ある原因を見分ける作業なんですね。だから、膝の痛みの原因を見るだけで分かる「利き膝」ができたらいいなあ」と思ったのだそうです。

なるほど〜。

なんだか、正月にテレビでやっている芸能人格付チェックみたいです。GACKTさんが間違えないことで有名な。あれもいろんな「利き能力」を試す番組ですよね。そんなことを考えていると、だんだん理学療法士さんがGACKTさんに見えてきました。だからでしょうか、こんなことを言ってしまったんです。

「GACKTさんみたいな利き膝の達人がいるかもしれませんね」

そしたら無視されました。たぶん聞こえなかったのだと信じていますが、あれは恥ずかしかったなあ。なんでGACKTとか言っちゃったんでしょう。

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