新入社員さんの自己紹介

人は第一印象が大事だと言われます。それは結構当たっていると思うんです。出会って10秒で「この人むりかも~」と思った人は、長く付き合ってもやっぱりストレスを感じるし、逆に「めっちゃいい人そう」と思った人とは、今でも親しく付き合っています。人間の直感ってすごいものです。

だからこそ、最初の挨拶には気合が入ります。特に自己紹介はハズしたくありません。

さて、4月になりましたね。4月といえば自己紹介。会社では新入社員さんが入ってくる時期です。今日は新人さんとの初顔合わせ。緊張した新人さんたちが、みんなの前に並んで自己紹介をする、というイベントがありました。このイベント、2日前からアナウンスされていたので、どんな面白い自己紹介をしてくれるんだろう、と想像を膨らましていました。とても楽しみだったのです。

妄想が膨らみ過ぎて、もし私が新入社員に戻ったらどんな自己紹介をするだろう、というシミュレーションまでしてしまいました。

名前や趣味でどうやってボケるか。変なやつだと思われない範囲の絶妙なボケはどのラインか。それでいて、親しみやすさも出したいので、自虐で行きたい。嘘はつきたくないから実際のエピソードでボケなければいけない。考え出すと、自己紹介ってすごく難しいんだなと思えてきます。

なんとかひねりだした私の自己紹介は、こんなものでした。

初めまして。〇〇と申します。最近ハマっているのは、観葉植物です。私けっこう在宅勤務をするんですけど、一人で部屋にいると、だんだん寂しくなってきちゃって。「緑が欲しい!」と思って、アマゾンでガジュマルを買ったんです。ちっちゃい木みたいなやつです。で、窓際に置いて、仕事しながら「かわいいね~」って話かけてるんです。めちゃくちゃ癒されるんですよ。

でも、置く場所が悪かったんでしょうね。葉っぱが、だんだんピーンって直立してきて。今や全部の葉っぱが窓側を向いてるんです。それって、私からみたら、ガジュマルにそっぽ向かれてる恰好なんですよ。「いや、世話してんの私やぞと。なにシカトしてんねん」って思えてきて、余計さみしくなってしまいました(笑) みなさんどうか話かけてください。よろしくお願いします。

ふう。これで大丈夫かな、と思ったところで我に返りました。なにしてんだろ私。自己紹介するのは新人さんなのに(笑)

それくらい楽しみにしていたんですよね。

昼下がり、オフィスの一角に、新入社員さんが整列しました。まだ着慣れない窮屈そうなスーツ。こわばった面もち。ピカピカの革靴。ああ、初々しいですね。その前に、我々オジサン軍団が群がりました。いよいよ自己紹介タイムです。

「じゃあ、自己紹介してもらいまーす」

部長が音頭を取りました。新人さんの顔がさらに緊張していきます。

「今日は時間があんまりないんで、質問の時間が取れないんですけど、どーしても質問したいぞって人、います?(笑)」部長が大げさに手を挙げて、誰かいないかーと左右を見渡しました。いやいや、そんな言い方されたら手挙げづらいです。部長のギャグに、ハハハハと笑い声があがり、場が和みました。さすが部長です。慣れています。

新人さんも少しホッとしたようです。ひとりずつ、自己紹介が始まりました。※以下、個人情報なので、一部にフェイクを入れて書きます。

「山田A男です。京都出身です。趣味はゲームです」
「佐藤B太です。大阪出身です。趣味はキャンプです」
「高田C介です。沖縄出身です。趣味はダイビングです」
「ワンです。中国出身です。趣味はゲームです」

えー! ボケないの!? いやいや、うーん、そうか、入社2日目の自己紹介でボケたら、さすがに方が変か。いやー、でも、ボケてほしかったなあ。あとゲーム被ってるやん。・・・すると、部長が言いました。

「じゃあ、全然時間ないんだけど、どーしても質問したい人いる?」 

ギャグの被せです。ハハハハと笑い声が上がりました。これでオチましたね。さあ、自己紹介タイムはお開きかな。そう思っていると、「はいっ!質問!質問!」ひとり手を挙げた男性が居ました。

「じゃあ、どうぞ、前へ」

部長に促されて前に出る男性。この絶対に質問しない空気の中、手を挙げてくるなんて、相当な勇者です。そこまでして何を聞きたかったのか。一同が耳を傾けました。

「えーと、質問です。みなさんの趣味は何ですか?」

まさかのボケ!さっき趣味言ってたやないかい、なんで同じこと言わすねん!というボケでした。これはうまいことボケたな、と思いました。

しかし、ツッコミが不在だったのが仇となりました。誰からもツッコまれず、スベッた感じになったんです。それならまだマシです。なんと、ボケだったはずの質問がマジに採用され、新人さんにもう一度趣味を言ってもらうという、地獄の流れになったのです。なんでやねん!

「趣味はゲームです」
「趣味はキャンプです」
「趣味はダイビングです」
「趣味はゲームです」

そうでしょうね!さっき聞いたもん!

新人さんも可哀そうに、まさか趣味を二回言わされるとは思ってもみなかったでしょう。1ターン目でボケを用意していないのですから、2ターン目もボケようがありません。入社早々とんだ地獄です。

誰も悪くないです。誰も悪くないけど、どうしたらよかったのでしょうか。もし自分が新人として過去に戻ったら、そのときは万が一に備えて趣味ボケを2つ用意しておこうと思いました。

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