これは先生に言わなくてもいいことだよね

「これは先生に言わなくてもいいことだよね」と息子から告白されたことがあります。

打ち明けられた秘密は人間関係に関するもので、息子としては「大したことない」と思っているようですが、大人の私からすると扱いに困るなあという内容でした。

私から一応のアドバイスはしたのですが、それで正解だったのだろうか、と今も悩んでいます。

相談があったのは数日前の夜のことです。

電気を落として薄暗くなった寝室で、私は息子の話し相手をしていました。

寝なきゃいけない時間だと分かっているけど、まだ眠りたくない息子は、ささやき声で話かけてきます。

「年中さんになったよ」などと、幼稚園であったことを報告してくれるのです。

日中はあんまり話してくれないのに、夜になると饒舌になるのは、どうしてなんでしょう。

「そうなんだ。すごいねえ」

気の抜けた返事をする私。

ごめんなさい。眠かったんです。

自分から話を振る元気がなく、ただただ話を聞くだけでした。

ダンゴムシでもできるレベルのクソ返答だったのですが、受けに徹していたのがかえってよかったようで、息子は「パパがお話を聴いてくれてる」と嬉しそうでした。

クラス替えをしたことに話題が移りました。

「◯◯(←息子の名前)、きりん組さんになったよ」
「へえ〜」
「年中さんは、きりん組さんなの」
「そうなんだ〜」
「あと、ぞう組さんもあるの」
「ふんふん」
「◯◯(←息子の名前)、ぞう組さんが良かったな〜」
「へ〜。どうして?」
「だって、タロウくんがいるんだもん」

タロウくんは年少さんのときに仲が良かったお友達です。進級して、別のクラスになったみたい。

息子は、タロウくんと会える時間が減ったのが寂しくて、クラス替えに不満があるようでした。

4歳児でも人事で一喜一憂するなんて、子ども社会も大人と同じですね。

共感していると、驚くべきひと言が息子から飛び出しました。

「タロウくんにね、遊びたくないって言われた」
「えっ!そうなの?」

一気に目が覚めました。

「どうして?」
「わかんない」
「そっかあ。それで◯◯(←息子の名前)は何て言ったの?」
「もう◯◯(←息子の名前)と遊べなくなるよ、それでもいいの?って言った」
「ほうほう。そしたら?」
「遊ばなくてもいいよ、って言われた」

ひどい扱い受けてるじゃん。傷ついただろうなあ息子。かわいそうに。

慰めてあげようかな、と思っていると、息子がこんなことを言いました。

「よかった〜」

えっ。どういうこと?

あんたとは遊ばないって言われて、なんでよかったと思えるの?

私は混乱してしまいました。

よくよく聞くと、息子はこう考えていることが分かりました。

僕は「もう遊べなくなるよ」と言った。
もしタロウくんが「いや、やっぱり遊びたい」と言ったら困る。
だってもう僕はタロウくんに「遊べなくなるよ」と言ってしまっているから。
遊べなくなるのにタロウくんが遊びたかったら可哀想だ。
でも、タロウくんは「遊ばなくていい」と言った。
だったらタロウくんは困らない。
問題ない。
よって、これは先生に言わなくていい。

なんと息子は、自分が辛いかどうかは度外視して、あくまで「タロウくんが悲しむかどうか」を物差しにして考えていたのです。

聖人かよ。すごいな。どこまでピュアなんでしょう。抱きしめたくなりました。

「タロウくんが悲しまなくてよかったね」

私からできたアドバイスはこれだけ。息子の全肯定。

タロウくんの幸せだけを願った息子を、全力で応援することしかできませんでした。だって貴すぎるんですもの。

でも、これでよかったのでしょうか。

自分を勘定に入れない息子は、まるで宮沢賢治さんのアメニモマケズのように尊敬できます。

でも、木偶の坊と呼ばれることに喜びを見出すには4歳は若すぎるとも思うのです。

なんて言ってあげるのがよかったのかなあ。

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