前十字靭帯の手術日記その1.入院前日まで

4月12日からしばらくの間、入院することになりました。

左ひざの前十字靭帯の再建手術をするためです。なんと3週間も入院するそうです。人生初めての大手術。しかも全身麻酔。緊張します。

でも、貴重な体験になると思うので、忘れないように日記を書きます。この日記が同じ手術をする人の助けになれば幸いです。

入院までの経緯

まずは入院までの経緯をまとめておきます。

説明がややこしいのですが、怪我をしたのは1月で、手術するのは4月。3か月の間があいています。

そのあいだ何をしていたかというと、靭帯を自然治癒しながらリハビリをしていました。

ひざの靭帯を二本損傷

今年のお正月、社会人バスケの試合が行われる中、カイリー・アービング選手の真似をしようとした中年男性が崩れ落ちました。私です。

左ひざの靭帯を2本同時に損傷してしまいました(前十字靭帯と内側側副靭帯)。

前十字靭帯は完全断裂。内側側副靭帯(ひざの内側の太い靭帯)は部分断裂。めちゃくちゃ痛くて、尻もちをつくようにコートに倒れたのを覚えています。

前十字靭帯は手術しないと治らない

主治医からは「前十字靭帯は再建手術しないと治らない」とハッキリ言われました。

再建手術というのは、ひざの横を触ったときにコリッとする固い筋(腱)を一部採取して、それを前十字靭帯の代わりに使う手術です。

ひざの骨に穴を開けて、腱を通し、チタン製のボルトで骨に固定するのだとか。聞くだけで背筋が凍ります。

そんな大手術イヤです。

だって怖いもん。

奇跡的に前十字靭帯が勝手に繋がってくれたらいいのに。

主治医は否定します。私のひざの中は、水の中をモップ(前十字靭帯の繊維)がふわふわ漂っている状態で、これが偶然繋がることはありえないそうです。

しかも手術せずに放っておくと、今度は半月板が損傷して人工関節を入れる手術になるとまで言われました。

どっちみち手術は避けられないのですね。

はあ。

内側側副靭帯は自然治癒できる

一方で、損傷したもう一つの靭帯(内側側副靭帯)は、損傷の程度にはよるものの、自然治癒が見込めるそうでした。

ヒラメみたいに大きな靭帯だから血流がよいというのが理由です。

ただし、前十字靭帯の手術をやってしまうと、術中にひざをぐっと曲げるときに内側側副靭帯がブチブチっと切れて大変なことになる。

そのため、先に内側側副靭帯を自然治癒させて、それから前十字靭帯の手術をしましょう、という流れになりました。

術前のリハビリ

怪我して2週間後には歩けていた

靭帯を切って2週間もすると、炎症がおさまり、あまり痛みを感じなくなりました。

医師に勧められて購入したドンジョイ装具という固いサポーターを装着すると、左足がサイボーグになったかのようにカッコよく、松葉杖なしでも歩行できました。

もちろん走ったり飛んだりはできませんが、普通の暮らしが戻ってきたのです。

スッとひとりでコンビニに行けるだけで嬉しい。

当たり前ですが、健康って何よりも大事だなあと実感します。

ひざを曲げられない暮らし

が、2週間では内側側副靭帯は自然治癒しておらず、治癒には1か月以上かかるようでした。

「内側側副靭帯が治るまでは、なるべくひざを曲げないようにしましょうね。120度くらいまでにしておいてください」主治医に言われました。

極力出歩かず、週2回リハビリでも、ひざを曲げないようにマッサージをしてもらいました。

怪我から1か月半ほど経ったころ、ひざを曲げると、内側のピリッとした痛みがなくなっていました。

ついに内側側副靭帯が治癒したか。

嬉しい。

激痛リハビリの幕開け

しかし、ひざを90度曲げたあたりで今度は「痛たたたた!」とすねの辺りに激痛が走りました。

「あ〜、固まっちゃいましたね」主治医は残念そうに眉を寄せました。

でも、ひざを曲げる手は緩みません。

「痛い!先生痛いです!」

「曲げといた方がいいですからね」

「痛いです!」

固まってしまった筋肉は無理にでも伸ばしておいたほうがいい。そうでないと手術後に元に戻らなくなる。そういうものらしく、この日から地獄のリハビリが始まります。

リハビリをしてくださる作業療法士さんは、実にいろんな方がいらっしゃいました。

ピラティスで腰を痛めて運動をしなくなった女性の療法士さん。お喋りが達者でいつも楽しみでした。

体のメカニズムを知り尽くした室伏広治さん似の療法士さんは「一回背中揉みますね」とひざからほど遠い場所を揉んだりしてくれました。「背中とひざは繋がっていますから」という言葉どおり、ひざが曲がるようになって衝撃をうけました。

アルコ&ピース酒井さん似の療法士さんは、自分がひざのリハビリをしてもらったときにタオルを口に咥えさせられたエピソードを披露して私を戦慄させました。

しかも直後「じゃあ、いきますねー」という合図とともに、思いっきりひざを曲げてきたんです。

「痛い!痛い!痛い!」と叫ぶほどの痛みでした。酒井のリハビリがダントツで痛かった。許せん。でも一番曲がるようになった。許す。

いろいろありました。

リハビリの痛みで枕を濡らしたり。手術予定日の直前に家族がコロナになったり。

こうして入院の日を迎えられて今はホッとしています。

サポートしてくれた病院のみなさま、支えてくれた家族に感謝です。

前夜祭

入院前のご褒美を考える

入院を明日に控えた夜、私は田んぼ道を歩いていました。

入院前は不要不急の外出をするなと言われています。でも、ここまで頑張った自分にご褒美をあげたい。何か特別なことをしたい気分だったのです。

ぶらぶらとあてもなく歩きました。

時刻は20時を過ぎ。どの店もシャッターを下ろしています。こんなとき田舎に住んでいることを呪いたくなります。

夏の羽虫のように明かりを求めて彷徨っていると、22時まで開店しているスターバックスが見えました。吸い込まれるように店に入りました。

カウンターの列に並びながら、私はお笑い芸人で芥川賞作家の又吉直樹さんの言葉を思い出していました。

「女の子とデートしてつまらんかったと文句言う男がいるけど、いやお前が楽しくせえよって思うよな。読書も同じで、面白い本を読もうとするんじゃなくて、俺がこの本を面白くしてやるって気持ちで読むねん。だから本当に楽しみにしている本を読むときは、前日から体調を整えて、この喫茶店で100ページ読んでとか考えるねん」

こんな趣旨のことを言っていたと思います。

初めて聞いたとき、又吉さんの本に対する愛情があふれていて、かっこいいなあと思ったものです。本の面白さを最大限引き出すために自分のコンディションを整えるって、すごく特別感があります。

それこそ、入院前夜を飾るくらいの特別感があります。

決めました。

スタバで喫茶店にまつわる本を読もうと。

スタバで一人前夜祭

注文したのは510円の水出しコーヒー。普通のアイスコーヒーじゃなくて、水出し。だって特別な日だから。

店員さんに「ありがとうございます」と最大限丁寧なお礼をして、コーヒーを受け取りました。だって特別な日だから。

そのまま隅の席に腰を下ろして、キンドルで僕のマリさんの「常識のない喫茶店」を読みました。

めちゃくちゃ面白かった。

目の前に大きなヘッドホンをした男性が座りました。オシャレな雰囲気をただよわせています。

半袖シャツにニットのベストを組み合わせています。こんな矛盾したコーディネートを試せるなんてオシャレ上級者に違いありません。

おしゃれなカフェに、おしゃれな客。そこで読む喫茶店の本。最高でした。

翌日からの入院、そして、大手術が待っているというのに、夜道を歩く足取りは軽いものでした。

心が満たされていたからでしょう。

きっと手術も乗り越えられる。リハビリもなんとかなる。こうしてポジティブの化身となり、入院の日を迎えました。

まとめ

バスケ中に前十字靭帯と内側側副靭帯を損傷して、手術しないと治らないと言われてショックを受け、2週間で歩けるようになり、激痛のリハビリを経て、ひざが曲がるようになり、入院前日にスタバで前夜祭をしました。

次回は入院1日目です(こちらからどうぞ)

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