前十字靭帯の手術日記その8.入院8日目(術後4日目)

前十字靭帯の手術で入院したときの日記。パート8です。

過去回をご覧になっていない方は、こちらからどうぞ。
・パート1:怪我~入院前日まで
・パート2:入院1日目
・パート3:入院2日目~3日目
・パート4:入院4日目(手術当日)
・パート5:入院5日目(手術翌日)
・パート6:入院6日目(手術後2日目)
・パート7:入院7日目(手術後3日目)

入院8日目

朝のルーティン

5:30 起床。同室のHさん(80歳男性)が今日も爆音でいびきをかいています。「うるさい…」同室の中学生の呟きが聞こえてきました。ねー。うるさいよねー。分かる分かる。

東野圭吾さんの「私が彼を殺した」を読みました。文庫本を持ち上げると上腕二頭筋に筋肉痛が。昨日の懸垂が効いています。

8:00 朝食。海苔の佃煮をかけたご飯がおいしかったです。白米と海苔のコンビネーションは最強だと思います。

8:40 ストレッチ

いらいらするHさん

「あれ?おらんな」カーテン越しに看護師さんのつぶやきが聞こえました。

10分後

「あれ?まだおらん。大事な薬があるのに」同じ看護師さんの声です。同室のHさんに薬を届けに来たけれども、Hさんが不在なので困っているようです。

さらに10分後

Hさんが帰ってきた音がしました。たちまちナースコールを押して「くすり!くすり!」と強めに要求をするHさん。「ちっ。時間が経ちすぎとるわ」そうとうお怒りの様子です。

・・・いやいや、自分が不在にしてたからやん。看護師さん2回きてましたよ? いらいらしすぎでしょ。態度が悪すぎてびっくりしてしまいます。看護師さん大変ですね。

マメの治療

9:30 右手にマメができてしまい、看護師さんに治療してもらいました。そのときの状況がグリム童話みたいでおもしろかったので、『松子』という題のエッセイにしました。入院中のエピソードのなかでもだいぶ気に入っている話です。

本棚めぐり

病棟の各階の共有スペースを訪ねあるき、本棚の品揃えをチェック。おもしろそうな本をたくさん発見してうれしくなりました。辻村深月さんの「ツナグ」を借りることに。

小論文が好きなお姉さん

看護助手のお姉さんと立ち話をしました。おそらく40歳前後の方です。

「あたし勉強は嫌いなんだけどさ、小論文は好きなのよ。だって、吾輩は猫であるみたいじゃない」彼女は含みを持たせて言いました。
「どういうことですか?」私は尋ねます。
「今日の朝食は目玉焼きである、なぜなら卵が安かったからである」
「はあ」
「なんか、吾輩は猫である、みたいじゃない?」

である調の語感が文豪みたいだから好き、ということでしょうか。小論文が好きな理由を『吾輩は猫であるみたい』で片付けようとするセンスがおもしろいですね。見たことがない切り口です。きっとこの人は、言葉が好きなんだろうなと思います。

大当たりの昼食

12:00 昼食 きゅうりとツナの酢の物うまっ!あまじょっぱさがちょうどいい。豚肉と厚揚げの甘いニラ炒めもおいしい。鮭のカレー風ムニエルもいい。今日のランチは大当たりです。

リハビリ

13:00 リハビリの第3回。寝た状態での左足上げが出来るようになりました。日ごとに痛みが小さくなるのが分かります。

右サイドプランク30秒を2セット、ソファをつかったディップス20回を2セット、懸垂を順手で7回、逆手で6回、太ももをチューブで引っ張られながらの片足スクワットを20回✕2セット(ひざが内に入るのを防ぐ筋肉を鍛えるのが目的らしい)、かかと上げを30回✕2セット行いました。

13:45 売店で水を購入。260円。高い。

14:20 屋上庭園でリハビリ。

中学生にお見舞い

16:00 同室の中学生のお母さんがお見舞いにきていました。今日は手術だったようです。「漫画、全部読んじゃった」「お菓子が食べたい」と中学生らしい要求を母親にしていて微笑ましいです。明日退院するとのこと。元気そうでなによりです。

病室で電話はマナー違反なんだけどな

16:20 同室のHさんの携帯から、着信を告げるメロディが流れました。83歳の耳に確実に届くようにおそらく最大の音量に設定しているだろうソレは、四人部屋の病室に響き渡ります。Hさんは慣れた手つきで着信に応じます。会話の内容はパンツに関するもの。相手は娘さんでしょうか。

ちなみに本病院の規則では、病室内での通話は禁止されており、共有のデイルームまで行って電話をかけるように言われています。私の知る限り、Hさんはすでに5〜6回の通話を病室で行っています。常習犯です。

「ここは病室なので通話禁止ですよ」と注意しようかなと思いましたが、器が小さいやつと思われるのも癪なので黙っていました。食事の咀嚼音や、真夜中の大いびきや、あくびの度に「あっ、あっ、あー!」と大きな声を出すことに比べれば、通話なんて不快指数はゼロです。

むしろ通話の内容を盗み聞きするのが楽しみなくらいです。こういう害のないマナー違反なら「なっていない老人のプチ事件簿」として楽しめるので、積極的に続けてください。

平和な夕方

16:30 屋上庭園トレ

17:00 私が彼が殺したを読んでいます。物語が動いてきました。おもしろい。

18:00 夕食。海老天そばがおいしかったです。

Hさんに呼び止められる

19:00 「〇〇さん、ちょっと」トイレから出ると、誰かに呼び止められました。振り返ると、同じ病室のHさんがいます。えっ、と思いました。Hさんに呼び止められることなんて初めてです。

「あのな、歯間ブラシのことなんだけど」とHさんは切り出しました。

ドキッとしました。トイレに来る前に、私は自分のベッドで丹念に歯間ブラシをしていたのです。そのことでしょうか。とっさに「歯間ブラシの音がうるさいから他所でしてくれ」と怒られるイメージが頭を巡りました。

普段、Hさんの生活音に「うるせえなあ」と心の中で毒づいていただけに、しっぺ返しがきたのだ、と思いました。しかしHさんは予想とはまったく違った言葉を投げかけてきました。

「歯間ブラシをしよったら、血が止まらんくなってな。ドバーっと出て大変じゃったんじゃ」Hさんはエピソードトークを始めたのです。

「血液さらさらの薬を飲んでるからですよ」横から看護師が現れて指摘をしました。唐突に始まった漫才。私は噴き出してしまいました。

Hさんが可愛いく思えました。するとHさんの騒音も少し許せるようになるから不思議です。コミュニケーションをとるって大事だなと思いました。

19:30 『松子』というエッセイを書きました。
21:30 読書。痛み止めと眠剤を飲みました。
22:00 就寝。

まとめ

心がほっこりすることがたくさんあった一日でした。看護師さんたちにマメ対策を考えてもらったり、小論文好きなお姉さんの話を聞いたり、同室の中学生が手術に成功したり、Hさんが歯間ブラシで流血したり。あとプチマナー違反も2件発見しました(看護師さんに「くすり!」と圧をかける。病室で電話する)。退屈しなくていいですね。

次回はこちら

コメント

タイトルとURLをコピーしました