憧れのブログ

ブログを書き始めるようになってから、他人様のブログが気になりだした。もとからそこそこ読む方だったけれど、最近は拍車をかけて、ずっぽり読みふけっている。

他人様のブログを読む意味

目的はもっぱら勉強のため。上質なブログに触れるたび「こんなふうに書けばいいんだ」と感銘を受ける。ブログから得た小さな感動が、養分となって、自分のブログが育つ感覚がある。

ブログはテキスト文化。基本は文章だ。

「優れた文章に触れる」という点では、プロの作家さんが書いた小説やエッセイの魅力は圧倒的だ。ブログとは比べものにならない。

それなのに、ブログに惹かれ、読んでしまう。なんでだろう。素人が書いているのに。

さきほど上質なブログが云々とか言ったけれど、格好つけてた。本当は、不完全さ、を求めているのだと思う。

「このブログ、ここがすごいな」と拍手を送りながら、同時に「ここは真似したくないな」と反面教師にしている節がある。不遜だ。ごめんなさい。

ひとの成功から学ぶことは多い。けれど、ひとの失敗から学べることはそれ以上に多いと思う。私はひとの不完全さが好きだ。

他人様のブログを勝手に眺めて、勝手に「ここは嫌だな」とジャッジする。そうやって自分の感性を研ぎ澄まそうとしている。自分だけ成長しようとしている。

なんて悪いやつなのだろう。ごめんなさい。

私の憧れるブログ

嫌なブログの特徴をそぎ落とす。すると、自分の目指すべきブログの輪郭が見えてくる。具体的には、こんなブログが書きたいと思うようになった。

・ユーモアがある
・文章力で勝負をしている
・一行目に自己紹介をしない
・やたら画像を貼らない
・やたら読者に話しかけない
・やたら情報提供してこない
・(あまり)お金の匂いがしない
・上から目線ではない
・しっかり内省している
・心の機微が描かれている
・他人を傷つけない
・人間愛に溢れている
・誰かを褒めている
・テンションが高すぎない
・具体的な体験が描かれている
・体験から学びを抽出できている
・創作やものづくりの香りがする
・ユーモアがありあまる

宮沢賢治でも発狂するくらいの注文の多さだ。これだけの条件をクリアするブログはそうそうない。「このブログはここがパーフェクトじゃないな」なんて安心したりする。

けれど、たまに、私の理想を叶えたような神ブログにお目にかかることがある。そんなときは素直にスタンディングオベーション。これだからネットサーフィンはやめられない、なんて呟いたりする。

私の理想。私の憧れるブログ。それはずばり「nomolkさんのブログ」だ。

このブログはすごい。著者はnomolkさん(本名は石川大樹さん)。読み物サイト「デイリーポータルZ」で編集者とライターを務めるプロの物書きさんである。ジャンルは「ものづくり」。電子工作が多い。体験のたのしさを読みやすい文章で伝えてくれる。子育て論なんかも書いている。

更新ペースは年間10~30記事くらい。2012年開設。なのでブログ歴は12年(大ベテランだ)投稿数は200記事とそこまで多くないのだけれど、ひとつひとつの内容が濃くて、考察が深くて、ずばりタメになる。

震えるくらい憧れた記事をいくつか紹介したい。

憧れ記事1:中学受験とは何だったのか

息子さんの中学受験をサポートしたnomolkさんの体験記。親が「受験しろ」と押し付けたわけではなく、息子さんも最初から受験を目指していたわけではなく、塾の雰囲気に流されて、いつのまにかその気になってしまい、「受験で良い結果を残す!」と息子さんが発奮したのがきっかけ。やむなく応援するnomolkさんだが、相手は小学生。「やる!」と言いつつサボろうとする。

長文なのだけれど、出来事や思考プロセスが論理的に整理されていて、とても読みやすい。子どもに振り回される親の心情や、子どもの成長を目の当たりにする快感が描かれる。「中学受験」と一括りにできない個々のエピソードが積み重なって、nomolkさんの想いがリアルに感じられた。

nomolkさんの工夫もすごかった。プロの編集者として、息子さんの作文対策にあたった。「記述問題でマシな文章を書くコツ」と題して、具体的なアドバイスが箇条書きされているのだけれど、なるほど参考になる。子供向け。だけど短く本質を突いている。教育者としての才能も感じさせる。

とにかくnomolkさんは、体験談を書くのが抜群にうまい。押しつけがましくないのが、とても良い。「私はこう感じたけれど、子育てはケースバイケース」という立場で語ってくれるから、nomolkさんが得た教訓を受け取りやすい。

ああ、そうか、自分こんなふうに素直に子育て体験を書きたかったんだな、と思わされた記事だった。オチも最高。

憧れ記事2:「だれでも自由に改憲できる日本国憲法」改憲の歴史

腹がよじれるくらい笑った。設定が抜群におもしろい。日本国憲法の条文を「だれでも編集できるサイト」に設置して、自由に改憲させるというもの。アンサイクロペディア的な悪ふざけが横行し、とんでも憲法ができあがる。

nomolkさんは、改憲には一切関与しない。神の視点から憲法のなりゆきを眺め、これはおもしろいと思った改憲部分をぬきだし、ツッコミ(解説?)を淡々といれていく。

すべての国民が暴力の下において平等になる。

義務教育が基本無料から初回無料に

第13条に登場する「個人」の読みが「こんちゅ」であることが判明する。

こういうアホっぽいユーモア、大好きだ。

憧れ記事3:電子工作を趣味にすると何ができるようになるか(+電子工作のはじめかた)

電子工作を趣味にすることについて分かりやすく語った記事。「居眠りすると温度が下がるエアコン」「撃てるメガネ」「メガネに指紋を付ける装置」など、タイトルを聞くだけで興味が湧く作品が紹介されている。ものづくりの話はたのしい。

ちなみに、私も電子工作を趣味でやっていた時期がある。専門じゃないので凄いのは作れないが、ネットの見よう見まねでアルディーノ(ちっちゃいパソコンみたいなもの)をいじり、電磁石を使って交流磁場を発生させ、植物を空中に浮かせる「ラピュタっぽいもの」を作った。おもしろかった。

いちおう空中浮遊はしたものの、ひどい出来で、ガタガタ!ガタガタ!と爆音で電磁石が震えるわ、セットポジションをミスると植物がぶっ飛んでいくわ、とても売り物にはならないものだった。市販品って凄いんだなと思った。

憧れ記事4:暇な時間と子供の創造性

自分の子供には創造的であってほしいという思いがある。

ある在宅勤務日をきっかけに、ものづくりや創作には関心が薄いと思っていた息子に変化が芽生え、段ボールの電車を作るようになった、というエピソードを軸に、「暇な時間が子どもの創造性を育むのではないか?」という持論を展開する記事。

nomolkさんの子育て記事が、ほんとうに、ほんとうに好きだ。父親として、子どもの成長をそばで観測し、湧き上がった気持ちや思想を丁寧に言語化してくれる。それも「あくまで持論。間違っている可能性もある」という立場で。押しつけがましくなく。そう思ったんだ、という体験を素直に伝えてくれる。

こういうリアルな子育て体験談こそ、最高の育児教本になると思う。子どもも親も千差万別だからこそ、唯一の正解を求めるのではなく、ケースバイケースで考え、言語化する必要がある。

「答え」を教わるのではなく「解き方」を見せてもらうのが大事、という点で、子育ては数学と似ていると思う。ただし、数学と違って答えが一つではなかったり、答えが一つもないときがあったりするのが厄介なところ。それだけに「解き方」の方が大切に思える。

nomolkさんは言語感覚が達者なので、クラスで一番字が綺麗な子のノートを借りて、途中式を見せてもらっている感覚がする。子育てに向き合う心の軌跡が丁寧に書き残されていて、とても勉強になる。

憧れ記事5:子供と二人でパッケージツアーに行くと良い

息子さんと北海道旅行をしたお話。いってしまえばただの育児日記、なのだが、今この瞬間のかけがえのなさ、がヒシヒシと伝わるのはなぜだろう。ふつうの育児日記とは一線を画する気がする。

これも気持ちの言語化の妙なのだろう。nomolkさんは、親の気持ちを例えるのがうま過ぎる。たとえば、以下の文章。共感しかない。

単純な話、親という生き物は、自分の子供が楽しそうにしていると快楽を感じるのである。(中略)「これは人生経験として子供の人生にプラスになるぞ」とか「もしかしたら子供の一生の思い出に残るかも」といった親の一つ一つの思い込みが、いちいち心の中でレベルアップのファンファーレを鳴らすのである。

息子さんと濃密に過ごした二泊三日は、さぞかけがえのないものだったのだろう。こういう大切な思い出が色あせないように、しっかり文章化して保存しておくというのは、ブログの最もまっとうなあるべき姿だ。ぜんぜん関係のない私のような第三者おじさんが読んでもエモくなる。こういうのが書きたい。

まとめ

nomolkさんのブログを紹介した。私のブログもいつかnomolkさんのような雰囲気をまとえるようになるのだろうか。憧れてやまない。nomolkさんはものづくり。私は本の紹介や日常の体験談。山登りのルートは違えど、山頂は同じであろうと思う。山頂のnomolkさんに会える日が待ち遠しい。

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