なつかしさ100%

息子が懐かしい歌を口ずさんでいる。

「がっかりして~。め~そめそして。ど~お~、したんだい。たいよ~う~、みたいに~、わらう~。きみ~は、どこだい。うぉ~う。うぉう」忍たま乱太郎の主題歌だ。

幼稚園で覚えてきたのだろうか。わが家のテレビで「忍たま乱太郎」を流したことはないから、たぶんそうだろう。

久しぶりに聞いたなあ。いい曲。いまも変わらずこの曲が主題歌なんだなと思うと、いっきに懐かさが込み上げてくる。息子に合わせて私もつい歌ってしまう。

「そうさ、ひゃくぱーせんと、ゆーうきー」
「もう、やりきるしーか、なーいさー」

そのままデュエットをした。「えっ!パパもこの歌知ってるの!?」みたいな反応を期待したけど、ノーリアクションで息子は歌い続ける。

四歳児からすると親は全知全能の神だから、知ってて当然と受け取ったのだろうか。もっと驚いてくれてもいいのにな、と思った。

一方、私は自分のことながら、とても驚いていた。歌ってみて分かったのだが、記憶に眠る忍たま乱太郎があまりにも鮮明すぎたのだ。

二十数年ぶりに歌った勇気100%は、歌詞を一言一句間違えず、100%完璧だった。物覚えの悪いこの私がである。

しかも、歌詞を覚えていたのは私だけではなかった。横で聞いていた母も、途中から私と息子のデュエットに乱入したのだ。母の心に眠っていたクノイチ的な部分が揺り起こされたらしい。

「ぼくたーちが、もてるかがやき」
「えいえーんにー、わーすれーなーいーでねー」
「へいっ!へいっ!へいっ!へーむへーむへむへむ」

親子三世代が練習もなしに歌えるという事実に直面してみると、このアニメソングの影響力がいかに大きかったのかを実感する。年齢を問わず、長く印象に残る。こういうのを名曲と言うのだろう。

同じ曲を覚えているということは、幼い私が心を打たれたように、母や息子もきっと同じメロディや同じ歌詞に感動したに違いない。感動を共有できたのだと思うと、心がつながった感じがしてうれしい。

感慨にふけっていると、水を差すように母が言った。

「それって、SMAPの曲だよね」

おいおい、待ってくれよ。SMAPなわけないじゃん。光GENJIに決まってるじゃん。

私のあたまの中では、アニメのオープニング映像に「光GENJI」という文字が鮮明に映っている。母はそうではないのか? 同じ感動を共有していたと思ったのは、幻だったのか?

「いやいや、光GENJIだよ」私はげんなりしながら訂正した。
「いやいや、SMAPでしょ」母は食い下がった。

絶対に光GENJIだと反論すると、それでもなお母は「SMAPだと思うんだけどなあ」と呟き、パソコンを立ち上げ、インターネットで検索を始めた。頑固100%だ。

「ほらっ!書いてある!やっぱりSMAPだよ」

そう言って母は「SMAP、TOKIO、嵐も。ジャニーズが主題歌を務めたアニメと…」と書かれたタイトルの記事を指して高らかに宣言する。

見ると、ネットニュースだった。

なにが「ほらっ!」だよ(笑)ネットニュースのタイトルみたいな世の中で一番信用できないもの持ちだして威張るなよ!

それに、ちゃんと中身読んだら「初代は光GENJI」って書いてあるし。タイトルに釣られてるじゃん(笑)

ネットニュースに簡単に踊らされる母がおかしくて、はーっはっは!と高笑いした私は、稗田八方斎のようだった。

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