瀬尾まいこさん著「ファミリーデイズ」の感想

瀬尾まいこさんの育児エッセイ「ファミリーデイズ」を読みました。

はじめに

オードリーの若林さんが「昭和の育児書を読むのがいい」とラジオで語ったことがありました。

今の世の中は「あれをしたほうがいい」「こんな子育ては間違っている」といった情報に溢れています。そうしたアドバイスを受け入れることは大切ですが、子どもはいつだって想定外なので、ルールに縛られ過ぎると、子育ては息苦しいものになってしまいます。

「そんな持ち方じゃ落とすよ!」はダメ。「しっかり持ってね」と肯定的に声を掛けるのが正しい。

机の上に登らせるのはダメ。「高いところは危ないから、下で遊ぼうね」と理由を説明して、別のもので気を引くのが正しい。

しかし、現実の子どもは、何度言っても、片手でお皿を持つし、机には登ろうとします。

そんなとき、昭和の育児書を開いてみると、目から鱗が落ちたような感覚になります。今の親がビックリしてしまうような、”間違った育児法”だらけなのです。「まじかよ。私たちってこんな適当に育てられてきたんだ」と愕然とします。でも、それがよかったりするのです。

「そっか、別に”正しい育児法”じゃなくっても、子どもはまっすぐ育ってくれるんだ」と思えることは、親の精神衛生を守ります。ちょっとくらい失敗したって、どうってことはない。こうした気楽な心構えを持ち、肩の力を抜いて子どもに向き合えるようになることが、現代における昭和の育児書の効能なのでしょう。

「昭和の育児書」が反面教師だとするならば、瀬尾さんの「ファミリーデイズ」は、同じ効果を正面から得られる、正面教師のような本でした。

「ファミリーデイズ」では、幼い我が子に翻弄されながら、想定外の日々を過ごす瀬尾さんのエピソードが、短く分かりやすいエッセイとして書かれています。「気楽に構えればいいんだ」「明日はきっとすばらしいんだ」という育児観を獲得していくまでを丁寧につづった、育児日記でした。

感想

予測できない未来にどう立ち向かうか?

誰と結婚するか。いつ子どもを授かるか。どんな玩具を買うか。小学校は受験させるか。どこに家を買うか。あるいは賃貸か。・・・人生は選択の連続です。

未来なんて一つも見通せないのに、重大な決断を日々せまられます。家族のこととなると責任までついてくる。いったい何を選べば正解なのでしょうか。途方にくれてしまいます。

そんな未来への不安に、一つの回答を与えてくれるのが、『最強の占い師』というエピソードでした。

瀬尾さんと彼氏は、大阪の石切を訪れます。石切は神社がある町で、参道にはたくさんのお店がたちならんでいるそうです。目を引くのは占いの店が多いこと。せっかくだから占ってもらおうと、お店に入った二人は、最強の占い師に出会うことになります。

この占い師のおばさんが変わった人で、「え?相性診断は?しないの?」「なんでそんな話になるの?」と思ってしまうくらい、まったく占わず、身の上話をするのです。

しかし、一週間後、この占い師のおかげで、二人に奇跡が起きるのでした。「いろいろあるけど、失敗したってどうってことはない。どう転んだって人生やっていけるんだから」という占い師の人生訓が、めぐりめぐって、ある重大な決断を後押しするのでした。

私はこれを読んで「気楽さって大事だな」と思いました。占い師が未来を占わないのが面白いエピソードなんですけど、それが逆に「未来なんて占えないものだ」と言われているように感じられました。

未来なんて何にも分かりません。だから、未来に起こるかもしれない失敗を恐れて選択を躊躇することはナンセンス。「失敗してもいいじゃん、なんとかなるさ」くらいの気軽さで思い切って行動する方が、よっぽど生産的と言えます。

でも「失敗してもいいじゃん」って、大きな選択を前にすればするほど、思えないですよね。そんなときに、この占い師みたいな「人生どうにかなる」人に背中を押してもらえるって、貴重なことだと思いました。

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